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今回は、静岡県浜松市の割烹料理店「吉野屋」を訪ねます。現存する客室棟は東棟、南棟、北棟の3棟で、いずれも板前から旅館を創業した野島勘作が施主となり、昭和2年から10年にかけて建てられました。それらは庭園の池を取り囲むように点在し、棟ごとに趣を変えているのが特徴です。特に2階建ての北棟は、上屋だけを茅葺に設えてユニークな田舎家の風情を演出しています。客室内部の意匠もそれぞれ異なった趣向が施され、客を非日常の世界へと誘います。北棟「桐の間」の床廻りには、紫檀、黒檀、鉄刀木という、唐木三大銘木が惜しげもなく使われています。一方書院風設えの南棟「亀の間」では、重厚で格式ある趣を堪能することができます。北棟1階「日の出の間」と2階「萩の間」に設えられた数寄屋風書院造の手の込んだ匠の技は圧巻の一言。意匠のバラエティは枚挙に暇がありません。じつは施主である勘作氏の長男が近代日本画家の大家、野島青茲氏。一時文化サロン的な役割を果たしたこともあり、各棟と庭園の配置や造作の隅々に、計算された美しさがあふれています。吉野屋は、昭和初期の割烹旅館の姿が現役として残された、稀有な存在です。
吉野屋 静岡県浜松市北区細江町気賀904-1 TEL:053-523-0004 ※建物見学のみの公開はしておりません。 営業時間:午前11時30分~午後9時00分 (昼は午後2時30分迄お使いになれます) ※予約制になります。部屋は貸し切りにいたしますので 2日前までにお電話でご予約下さい。 定休日:不定休 交通機関:気賀駅より徒歩約10分 車:浜松西ICから北西に約9㎞、約30分 駐車場:10台
※上記以外の情報については、公開出来ません。
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今回は、静岡県浜松市の割烹料理店「吉野屋」を訪ねます。現存する客室棟は東棟、南棟、北棟の3棟で、いずれも板前から旅館を創業した野島勘作が施主となり、昭和2年から10年にかけて建てられました。それらは庭園の池を取り囲むように点在し、棟ごとに趣を変えているのが特徴です。特に2階建ての北棟は、上屋だけを茅葺に設えてユニークな田舎家の風情を演出しています。客室内部の意匠もそれぞれ異なった趣向が施され、客を非日常の世界へと誘います。北棟「桐の間」の床廻りには、紫檀、黒檀、鉄刀木という、唐木三大銘木が惜しげもなく使われています。一方書院風設えの南棟「亀の間」では、重厚で格式ある趣を堪能することができます。北棟1階「日の出の間」と2階「萩の間」に設えられた数寄屋風書院造の手の込んだ匠の技は圧巻の一言。意匠のバラエティは枚挙に暇がありません。じつは施主である勘作氏の長男が近代日本画家の大家、野島青茲氏。一時文化サロン的な役割を果たしたこともあり、各棟と庭園の配置や造作の隅々に、計算された美しさがあふれています。吉野屋は、昭和初期の割烹旅館の姿が現役として残された、稀有な存在です。