RICHO presents アファンの森の物語 2009年9月5日(土)夜8:00~8:55放送 出演:C.W.ニコル/市川團十郎 語り:八千草 薫

長野県(信濃町)に森の再生活動を実践するために、作家であり、環境保護活動家としても有名なC.W.ニコルさんが25年前から少しずつ土地を買いながら、里山を育てています。荒れ果てていた土地は、愛情と共に、人の手を入れることによって、非常に美しく健康的な森へと育っていきました。年毎に絶滅危惧種も増え、「熊」も「ふくろう」も帰ってくるほど豊かな森になりました。ニコルさんは、その生物が多様な森を「アファンの森」と名付けました。「人間と自然が共存する豊かな森を育てたい」というのが、ニコルさんの活動を支えている夢でもあります。

かつての日本人は、自然と共生して暮らしていた過去があります。日本列島は、森林列島であり、「森の民」であった古来の日本人には、自然と密にかかわりあいながら、自然と親しみ、自然に日常的に触れて、暮らしていたのです。“人間もまた自然界の一部”であり、「健全な生態系を維持することが、どれだけ大切なことなのか」、今だからこそ、しっかりと感じて、考えてみたいものです。

ニコルさんは、「人間は自然環境と共存できる知恵と技術を持っている」とおっしゃっています。森は水を保っています。森には昆虫が集まり、それを求めて鳥や動物が棲むという、言わば、「森は小さな生態系」なのです。だから、森は、命の源泉であり、その一つ一つの命に、たくさんの物語があるのです。水、土壌、大気、生物、それぞれが豊かになっていく世界が、本当の意味において“環境のすぐれたところ”ですが、ニコルさんが育んでいる「アファンの森」こそ、まさにそういう場所だと言えるでしょう。

当番組は、「アファンの森」の四季を通して、森の営み、森の恵み、そして、“森の精気”を感じて頂きます。「アファンの森」の主(あるじ)である作家C.W.ニコルさんが、ゲストとしてお招きする歌舞伎俳優、十二代目市川團十郎さんのために、森の恵みを使った料理で、おもてなしをいたします。ニコルさんが、團十郎さんのために用意したのは、鹿肉を使った料理です。現在の日本では、今や「害獣」と呼ばれ、実際ほとんどが捨てられている鹿や猪の肉は、実は美味しくて、自然を傷つけることがありません。「“害獣”ではなく、“自然の恵み”だと考えるべきだ」と、ニコルさんは感じています。

野趣あふれる料理を食していただきながら、C.W.ニコルさんと市川團十郎さんが、自然や文化について対談していただくという番組です。