アジア神秘紀行

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ストーリー

麗しき水の都の庭園~中国・蘇州~




上海から列車で1時間、大河・長江の南に広がる蘇州(そしゅう)は、13世紀にイタリアの商人・マルコポーロが訪れた際、その美しさを“東洋のベニス”と称えた水の都です。現在も町中に水路が張り巡らされ、美しい景観が残されています。蘇州が中国の歴史に登場するのは今から約2500年前、春秋戦国時代に呉の都となってから。その後、明、清の時代には水運業の拠点として栄え、交易による富が集まったことから、様々な独自の文化がこの地で花開きました。その代表的なものが庭園。今では「蘇州古典園林」として世界遺産に登録されています。水の都が育んできた麗しき伝統文化を訪ねます。

富豪たちが競い合うように造った庭園の数々。現在、そのうち9つの庭園が世界遺産に登録されています。今回はその中でも拙政園(せっせいえん)、滄浪亭(そうろうてい)、獅子林(ししりん)、留園(りゅうえん)の“蘇州四大庭園”と呼ばれる庭園を紹介します。蘇州古典庭園では各所に独特の技法が用いられ、様々な工夫が施されています。庭園の主たちが目指したのは桃源郷のような争いのない美しい世界。庭園を愛してやまなかった先人たちの、自然に対する尊敬と憧れが凝縮されています。
また蘇州はシルク産業が盛んで、そこから大胆で繊細な刺繍文化が生まれました。昔から女性は母から子へ、子から孫へ、刺繍の技術を伝承してきました。髪の毛の10分の1ほどの細さの1000色にもおよぶ刺繍糸を自在に操り、まるで絵画のように作品は仕上げられます。それは長い年月をかけて受け継がれてきた技と、女性たちの情熱の結晶なのです。

美しい水の都の麗しき景観とともに、先人たちが作り上げた中国の美の神髄を見つめます。