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ストーリー

世界のランドマーク その裏側に迫る!
パリのシンボル・エッフェル塔

世界で最も人気の高い観光名所の1つ「エッフェル塔」。建設から120年以上がたった今、史上初の大改修工事が行われることとなった。しかし改修工事が進むなかで、技術的な問題をはじめ、さまざまな難題が襲ってくる。「どのような経緯で造られたのか?」「原料に鉄を選んだ理由は?」「解体される運命をどう回避したのか?」といった建設当時の裏話から最近の"エコ"な取り組みまで、改修工事に密着しながら、エッフェル塔の今と昔を解き明かす。

パリのシンボルでもあるエッフェル塔で、史上初の大規模な改修工事が行なわれることとなった。塗装やエレベーターの入れ替えといったさまざまな工事に、多くの専門家たちが参加する一大プロジェクトである。塗装チームは25人。彼らは1年半の間に、25万平方メートルの表面積に60トンものペンキを塗らなければならない。地上300メートルの高さでロープにつられながら、一世一代の大仕事が始まる。
 工事中であってもエッフェル塔には観光客が訪れる。その数、なんと年間700万人。エレベーターは東西南北に4基あるが、入れ替えを想定した設計ではないため、古い部品を取り外すだけでも細心の注意が必要だという。そして世界中から人が訪れるエッフェル塔はテロリストの標的にもなりやすい。ある晩、爆破予告の電話が入り、エッフェル塔は一時大混乱に陥った。観光客の緊急避難を速やかに行うためにも、エレベーターの入れ替え工事の完了が待たれる。また、エッフェル塔はたくさんの電球でライトアップされている。その電球はどのようにメンテナンスされているのだろうか。点検作業中の電気技師に密着する。
爆破予告や火災など、さまざまな問題と戦いながらもエレベーターの工事は着々と進み、第1段階が終わろうとしていた。その一方で、塗装チームも全工程の完了が間近となった。環境に優しい無鉛塗料を使うなど、改修工事は環境保護にも配慮。エッフェル塔の設備はオール電化で、レストランでもガスは使用せず、ライターやキャンドルも禁止という徹底ぶりだ。このようにオール電化で、夜間のライトアップもしているため「節電は難しいのでは」という意見もあるかもしれないが、低エネルギー電球への交換や空調の設定変更などにより、目標以上の節電に成功しているそうだ。
こうして一大プロジェクトは完了。エッフェル塔で働いたという誇りを胸に、職人たちは1年半ぶりに家族のもとに帰る。職人だけでなく、役人や歴史家、エッフェル塔で働く人々も、パリのシンボルに対する思いを語る。彼らの思いがあるからこそ、エッフェル塔の未来は明るく照らされているのだろう。