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ストーリー

世界のランドマーク その裏側に迫る!
上海・万博への大改造

2010年、上海国際博覧会が開催された。それにともない、上海では未曾有の大工事が行なわれた。それは外灘(わいたん)エリアの再開発を1年未満で完了させるという、無謀とも思える計画。不可能を可能にすべく、国内外から最高の技術を持った人々が結集する。数々の難題に取り組む技術者たちに焦点を当て、中国一大プロジェクトの裏側を紹介する。

アヘン戦争後、上海には大勢のイギリス人が移住してきた。彼らの影響もあり、上海は外灘エリアを中心に国際的な街として繁栄していく。しかし1949年に中華人民共和国が建国されて以来、急激に衰退してしまった。それから半世紀以上が経った2010年。万博の開催が決まり、外灘エリアは再び開発されることになった。トンネルを掘って5車線ある道路を地下に移動し、かわりに地上に遊歩道を造る壮大なプロジェクトだ。トンネルを掘るためには1000トンもの重さがある橋を移動する必要があった。本来なら18ヶ月かかるこのプロジェクトを、たった11ヶ月で完成させなければならない。
期限が迫るなか、橋の下を掘るには橋の耐久力が足りないことが判明。橋の構造を正確に把握するため、測量のプロがさまざまな角度からレーザーでデータを収集する。測量の結果をふまえ、橋を移動させて長さ3キロあまりのトンネルを掘り終えることができた。しかし新たな問題が浮上。トンネルが、地下鉄から2メートルも離れていない場所を掘り進んでいたことが発覚したのだ。トンネルを掘り進めながら重りを移動させ、圧力を調整。この問題は、なんとか回避することができた。歴史的建造物の土台にも損傷を与えずに掘り進んだトンネルは、測量士に「完璧」と言わしめたほどの正確さだった。
最終検査の前日。開通目前の遊歩道に問題が浮上する。タイルに汚れが付着していたのだ。この緊急事態に消防車がかけつけ、高水圧洗浄が行なわれた。さらにトンネル内ではまだ舗装作業が残っていた。最終作業の舗装に使う材料の到着が大幅に遅れ、ようやく材料が届いたのは真夜中。翌朝6時の期限を守るため、作業員たちは徹夜で作業を行った。
不可能と思われた修復作業を可能にした人々によって生まれ変わった外灘エリア。市民も喜びの声を上げた。