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ストーリー

古代のオリンピックとは? ~2500年前のアスリート

今から50年前に南イタリアで発見された華麗な装飾が施された石棺から、2500年前の古代ギリシャのアスリートの骨が見つかった。完璧な保存状態の骨と、墓から見つかった壺の絵をもとに、古代のアスリートの生涯を明らかにしていく。
最新の科学的調査、目を見張るような特殊効果などにより、古代のオリンピック選手たちの世界を再現。科学を駆使した綿密な考証によって、選手やその生活について驚くほど些細なことまでが判明する。骨の形状からアスリートの競技、科学的分析によって彼らの食生活などがわかってきたのだ。
また特殊効果技術で、古代オリンピアの素晴らしい景観と4万人を超す観客が帝国中から押し寄せた競技会の様子も再現。この盛大な祭典に参加するとはどういうことであったのか、その真髄に迫る。

今から五十年前、南イタリアのタラントで古代の墓から立派な石棺が発見された。中に入っていたのは、二千五百年前のアスリート、古代ギリシャの競技会に出場した選手の遺骨だった。いったい彼は、どのような人物で、どんな生涯をおくったのだろうか…?
まず遺骨を細かく調べ、生前の姿を再現する。続いて、その骨を現代人のものと比較しながら筋肉の強さを割り出し、コンピューターでモデルを作って、彼の幅跳びの能力を現代人と比較。その結果、このタラントのアスリートは現代の競技会でも十分通用する力の持ち主であることが分かる。 一方、一緒に収められていた壷は、アテネで行われていた競技会で優勝者に贈られたものであった。そして、そこに描かれた絵柄から判断して、このタラントのアスリートがパンクラティオンと呼ばれる五種競技の優勝者だったことも分かる。それは、骨の変形した部分が示していることと一致していた。アテネの優勝者である以上、古代ギリシャ最大のスポーツの祭典、オリンピックにも出場したはずである。つまり彼は、古代オリンピックの選手だったのだ。また彼は、オーナーとして戦車レースでも優勝した。プロのアスリートとして栄光を勝ち取った彼だったが、関節炎から引退を余儀なくされ、二十七歳から三十五歳という若さで亡くなったようだ。
また、彼の生涯と平行して、古代オリンピックの様子も紹介される。大会が開かれた聖なる地・オリンピアにはギリシャ世界全土から何千、何万という人が詰めかけ、競技は裸で行われた。競技者は鍛え抜かれたプロのアスリートたち。競技はかなり乱暴で、パンクラティオンと呼ばれる格闘技では、噛み付くことと目や口に指を突っ込むこと以外は何をしても許された。戦車レースでは死者が出ることも珍しくなかったという。古代オリンピックはまさに驚くべき世界だったのだ。