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ストーリー

ヒューマン・ジャーニー ~遥(はる)かなる人類の旅~
オーストラリア アボリジニの謎

人類はおよそ7万年前にアフリカを出て、世界中に広まったと言われている。

今回は、謎に包まれたオーストラリア人のルーツに迫る。
最初の舞台はオーストラリアのマンゴ国立公園。ここから、右足だけの480個の足跡と"マンゴ人"の化石が発見された。測定の結果、足跡は1万9千年前から2万3千年前のもの、マンゴ人の化石は4万年前と判明した。一説には6万年前とも言われた。これは、マンゴ人が7万年前にアフリカを旅立った人類とは一線を画す可能性を秘めていた。オーストラリアの先住民族アボリジニは、7万年前にアフリカ大陸から移動してきたのか、それとも、さらに昔の人類の祖先から枝分かれしたのだろうか。
 この謎を解く鍵を握るのは化石ではなく、現代に生きる人々であった。アボリジニのDNAがアフリカに起源を持つことを示す結果が出たのだ。
 では、アフリカを出た人類はどうやってオーストラリアにたどりついたのだろうか。さらに、彼らのルーツを探るべく、舞台はアジア全土へと移る。
最新の説では、人類はインド洋沿岸を東へ移動したという。インドでは7万4千年前のトバ山の大噴火を生き抜いた証拠となる化石が発見された。また、何万年も前からごく最近まで、外部との接触を持たず暮らしてきたマレーシア北部に暮らすセマン族のルーツはアフリカであることもわかった。
 そして、ボルネオのニア洞窟でも、4万5千年前にすでに狩りをする集団がいた跡が確認されている。しかし、その先には行く手を阻む謎の人類ホビットが存在した可能性があり、さらには広大な海が横たわっていた。もしかしたらホビットを避けるようにして、彼らはオーストラリアへ向かったのかもしれない。
 人類が海を越えた方法については、陸地同士の距離が縮まった6万年前の氷河期が1つの鍵を握る。なんとオーストラリア北部のアーネムランドでは、人類の旅を裏付ける証拠となる6万年前の石器が発見されているのである。そして、アーネムランドに暮らすアボリジニの神話によると、彼らの創造主は海を越えて来たという。人類が経験した壮大な旅の真相を検証する。