BBC地球伝説

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ストーリー

ヒューマン・ジャーニー ~遥(はる)かなる人類の旅~
アメリカ 最後のフロンティア

人類はおよそ7万年前にアフリカを出て、世界中に広まったと言われている。

 アフリカを出発し、アジア、ヨーロッパ、オーストラリアへと広まってきた現生人類。しかし、アメリカ大陸は最後まで無人の地であり続けた。その理由は3つ、東の大西洋、西の太平洋、北の氷、である。特に北のカナダとアラスカは、厚さ数キロの氷で覆われていた。私たちの祖先がここを踏破したとは考えにくい。
 しかし、彼らがアメリカ大陸に到達したことは紛れもない事実である。ではどうやってアメリカ大陸にたどりついたのか。
 カナダのカルガリのネイティブ・アメリカン、ツウ・ティナ族は、アメリカに最初にたどりついた人々の子孫である。人類がアメリカへ来たのは1万3千年より前の1万4千年前だったらしい。しかし、1万4千年前はまだ、氷床の回廊が開けていなかったはずだ。
 その他にも、科学者たちの中には、すい星が北部アメリカ上空で爆発、破片が大陸に降り注ぎ、植物を焼きつくしたせいで、マンモス等の動物が食糧難に陥り絶滅したのであって、人類が狩り尽くしたせいではないと考える者もいる。また、人類が北部アメリカの氷床を踏破できたはずがないと考える者もいる。となれば、いったい人類はいつ、どのルートをたどってアメリカ大陸に到着し、南北アメリカ各地に広がっていったのであろうか。どうやって北部の氷床地帯を越えて来たのかがいまだに謎だ。
 その謎を解くため、法医学者の力を借り、当時の地層に含まれる花粉を調べる。その結果、カナダの西海岸の海底部から、湿地帯でよく見られるスガ等の植物の花粉が発見された。年代測定の結果、それらの花粉は1万7千年前、最後の氷河期のものだった。ということは、内陸部は氷床に覆われていても、海岸部には豊かな植生があったものと考えられ、人類が食物を得るのも可能だったと思われる。つまり、「人類はシベリアから陸伝いにアラスカへ入り、海岸地帯に沿って南下したのではないか」と言うのが最新の学説となっている。