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ストーリー

古代ギリシャ・神話の旅 前編 
トルコからクレタ島へ

さまざまな神や英雄、怪物が登場し壮大な物語が繰り広げられるギリシャ神話。神話の原点となった風景や出来事は実際に存在していたのか。その誕生の背景を探るべく、歴史家ロビン・レイン・フォックスが、ギリシャ神話のエピソードを紹介しながら、今も残る古代の遺跡や地中海沿岸の名所を訪ねる。
神話を生み出した人々は、神についてどう考え、どうやって神話を生み出したのか? 今回はギリシャ神話誕生の真実に迫る全2回シリーズの前編。
ギリシャ神話に描かれた天地創造の物語や、世界の芸術家に影響を与えてきた有名な神々。それらはもともと、エウボイア島(現・ユービア島)に住んでいた民族エウボイア人が、地中海沿岸の各地から集めた伝承をもとに、新たに作りあげていったものだった。彼らの足跡を追いかけながら、ギリシャ神話誕生の真実、その謎をひもとく。

ギリシャ神話を作り出したといわれるエウボイア人。彼らは航海技術に優れ、地中海沿岸のさまざまな国を船で渡った民族だった。歴史家ロビン・レイン・フォックスが訪れたのは、トルコ・古代ヒッタイト帝国の首都、世界遺産ハットゥシャ。古代、この地でエウボイア人が伝え聞いた物語が、天の神ウーラノスと大地の女神ガイア、そして息子クロノスによる、ギリシャ神話における天地創造のエピソードとなったのだという。
さらに、地中海の島々も巡る。キプロス島で訪れるのは、多くの芸術家たちを魅了し続ける女神アフロディーテが海からあがってきたとされる浜辺。今でこそ愛と美の女神として定着しているアフロディーテだが、エウボイア人が訪れる前は、キプロス島に伝わる、豊穣(ほうじょう)多産をつかさどる女神として信仰されていた。またギリシャ・クレタ島では、全能の神ゼウスが幼少期を過ごしたといわれる洞穴を訪れる。元々この洞穴では、子供の姿をした多産の神コウロスが崇められていた。しかし、エウボイア人がやって来たことでコウロスは、ヒッタイト遺跡から誕生した神クロノスの息子ゼウスとして生まれ変わったのだ。
各地を旅したエウボイア人は、ギリシャ神話を作り上げただけでなく、アルファベットを普及させた立役者でもあった。また、彼らのおかげでギリシャ神話が誕生し、現代へと伝えられたのである。古代を旅したエウボイア人と、彼らが出会った物語の数々を紹介しながら、ギリシャ神話が誕生した背景に迫る。