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ストーリー

神秘の大宇宙 Episode 2 宇宙の起源

太陽系を解説した「神秘の太陽系」で、案内役を務めた物理学者ブライアン・コックス教授によるシリーズの第2弾。今回は、宇宙に関する数々の謎に迫る。
第2回のテーマは、“宇宙の起源”。ブライアンは「私たちはどこから来たのか?」という疑問の答えを見出すためには、宇宙の起源に目を向けなければならないと語る。
私たち人間を含め地球に存在する全てのものは、宇宙にある元素と同じものでできているのだ。それらの元素がどのようにして生まれたのか、星の一生を見ながら解き明かしていく。

最初に訪れたのは、ネパールにあるヒンズー教の聖地。ヒンズー教では、全てのものは破壊されて再生する、と信じられている。それは、夜空に輝く星の一生にも当てはまる。ブライアンは、「人間の起源を知るには、まず星の生と死を理解する必要がある」と語る。
人間を含め地球にある全てのものは、92の化学元素からできている。どんな複雑なものも、材料はそれだけ。そして宇宙にある全てのものも、その92の化学元素からできている。銀河の星と私たち人間は、みんな同じ原料なのだ。では、その元素はどこから来たのか。
元素は、太陽のような恒星でつくられている。元素が生まれるには、核融合が起きるほどの熱と密度が必要だからだ。例えば、太陽の中心部では、水素がヘリウムに変換されている。しかし言い換えれば、太陽はヘリウム以外を作り出すことはできない。では、他の元素はどこでつくられているのか。 
ヘリウムより重い元素がつくられるには、さらに高温の環境が必要となる。そして、その温度に到達できるのは、星が死んでいく時だけ。つまり、星がエネルギーを使い果たし崩壊する時に、さまざまな元素がつくられるのだ。さらに、鉄よりも重い元素については、巨大な恒星の超新星爆発によってのみつくられる。
超新星爆発はめったに起きないが、銀河系にある恒星・ベテルギウスは、近い将来、超新星爆発を起こすのではないかと考えられている。ベテルギウスが爆発する時には、太陽が一生に生み出すよりも多くのエネルギーが放出されると言われている。超新星爆発を起こした後には星雲ができ、そこから新たな星が生まれる。まさに、死と再生の繰り返しだ。私たちが住む太陽系も、このようにして生まれたのだ。
生き物をつくり出すのに欠かせない要素・炭素化合物は、何十億年も前、地球に衝突した隕石によってもたらされた。私たち人間を生み出した要素は、はるか彼方の宇宙でつくられたものだったのだ。「それが、人間の起源が宇宙にあることを示す動かぬ証拠だ」とブライアンは語る。