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ストーリー

野生に帰せ!
アムールヒョウの赤ちゃんに密着

現在、地球上で絶滅の危機にひんしている野生動物たち。彼らが生き残るために残された方法は、未来へのかけ橋となる"奇跡の赤ちゃん"を誕生させ、野生に帰すことだろう。動物学者のマーティン・ヒューズ=ゲームズが、世界各地で消えようとしている絶滅危惧種の生態に迫りながら、その保護活動に尽力する人々を追いかける全5回シリーズ。
第2回は、野生動物の繁殖の厳しさについて。ロシアに生息するアムールヒョウは、気性が荒く、人の手による繁殖がとても困難。気が合わないと、お互いを攻撃しあうこともある。ケニアでは、人間に育てられたゾウを自然界に戻そうとする人々に密着。ロンドンの動物園では、ゴリラのユニークなお見合いの模様に迫る。

ロシアをはじめ生息する地域で、ほぼ絶滅といわれているアムールヒョウは、野生での個体数がわずか30頭ほどしか確認されていない。アムールヒョウを研究する学者でさえ、姿を見ることができたのは14年間で1度だけというほど、希少な野生動物。世界各地の動物園では、そんなアムールヒョウの繁殖研究が盛んに行われている。しかし、アムールヒョウはとても気性が荒い動物。繁殖期のオスとメスが顔を合わせても、気に入らなければ相手を攻撃してしまう。初めて繁殖を試みるイギリスの動物園では、飼育員たちが忍耐強くオスとメスを引き合わせた。  ケニアでは、密猟や病気などで親をなくした赤ちゃんゾウを育てる施設を訪ねた。この施設の目的は単なるゾウの保護ではなく、やがて自然へ返すため、段階を踏んで独り立ちさせること。そのためには、まずゾウたちの心のケアから始めなくてはならない。目の前で親を殺された赤ちゃんゾウは心に傷を抱え、最悪の場合はストレスで死んでしまうことも。施設では、飼育員による心のケアをはじめ、高度な飼育環境と献身的な愛情が赤ちゃんゾウたちに注がれている。
ロンドンの動物園では、絶滅の危機にひんしているニシローランドゴリラのメス3頭が、海を越えたお見合いを進めていた。相手となるオスは、世界各地で登録されているデータベースから選ばれた。そして、ついにフランスから1頭のオスのゴリラが到着し、繁殖に成功する。しかし、飼育員たちの喜びもつかの間、オスのゴリラは、急激な環境の変化のためか急死。残されたメスゴリラのお腹には、現在、新たな生命が育まれている。
野生動物が置かれる環境の厳しさ、人工繁殖の難しさを描きながら、動物たちの個体数の維持に尽力する人々を追いかける。