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    #96

    平山郁夫

    日本文化の源流を求めてシルクロードを訪ね、壮大な作品の数々を生み出した日本画壇の巨匠・平山郁夫。仏教への深い思い、平和への切実な祈りは、自らの被爆体験に基づくものだった。

    ・15才の被爆体験、描きたいのは美しい思い出
    広島県、生口島(いくちじま)、9人兄弟の次男として生まれる。15才の夏、勤労動員中に被爆。奇跡的に生き延び、東京美術学校に入学。絵画とは人生の美しさをうたい、表すものだと気づく。当時、平山にとって美しいことは、故郷瀬戸内海の思い出だけだった。
    (作品「三人姉妹」「家路」「路地の倉」他)

    ・運命の出会い、三蔵法師と天の啓示
    美術学校助手をしながら公募展に出品するが落選。結婚し子供が生まれた直後に、被爆後遺症で白血病を発症する。死に直面した時、新聞の「聖火、シルクロードを通る」という記事に惹きつけられた。砂漠の道を往復した、三蔵法師を苦境の自身になぞらえ絵筆を取る。天の啓示がもたらした新境地。
    (作品「仏教伝来」)

    ・義父の死から悟った喜びの死、その表情とは
    美術学校で出会った妻の美知子は、平山より優秀だったが、筆を折り、夫を支える道を選んだ。妻の父の往生を看取った平山は、その満足気な表情に喜びの死の存在を知る。「仏教伝来」以後、描けなかった悩みが一掃、世界観が大きく拓かれた。
    (作品「入涅槃幻想」「行七歩」「受胎霊夢」「出現」他)

    ・絹の道は続く~日本に、人生に
    昭和41年、憧れのシルクロードに。昭和50年には三蔵法師の故国中国へ。以後晩年に至るまで、仏教伝来の道を追い描き続ける。それは日本文化の源流を探す旅でもあった。
    (作品「シエナの丘」「アンコールワットの月」「敦煌A」他)

    「文化の源流とは、言いかえれば心のふるさとです」、平山郁夫は綴っている。心のふるさとこそ感動の原点。そして絵を描くという行為は、感動をどう形にするかという所から始まるのだ、と。日本美術界のみならず世界の文化財保護にまで力を注いだ画家の、死と向き合いつつ歩んだ一筋の道を辿る。