パナソニック スペシャル 次世代への羅針盤 伊藤元重の経済×未来研究所
第9回放送テーマ
9月27日(土) 20:00~20:55


チャイナリスクをビジネスチャンスに

北京オリンピックも成功裡に終えた中国。しかし、世界各国から中国経済は、バブルが、はじけ、陰りが見え始めたと警告を発する声が上がっている。
いわゆる「チャイナリスク」である。
その「チャイナリスク」とは、大きくわけて3つある。
1、 株と不動産のバブル
膨張する中国経済のバブルがいつ弾けるのかという投機筋の不安材料
2、 輸出依存型の経済
中国は、安い労働賃金から外国メーカーの生産工場が、集中し、本国へ輸出される「企業間貿易」により貿易黒字を稼ぎ出してきた。しかし、中国の労働賃金が上昇しているために「世界の工場」という位置付けが壊れ始めている。
3、 拡大する格差社会
富裕層が急増している沿岸地域と、内陸部とで所得格差が拡大。大都市と農村部では、10倍以上も収入が違うため低所得の不満が高まっている。

そんな中、チャイナリスクをチャンスと捉え中国進出を積極的に進めている企業がある。
その企業の活動を通して中国で生き抜く方策を紹介する。

その1、「ピンチはチャンス!」 三越
ホテルオークラ経営のガーデンホテル上海。この1階フロアーに店を構える。
主にじゅうたん、中国伝統工芸品、貴金属、インポート雑貨、日用品、ファッションなど6つのブースからなる。1989年に上海進出以来、着実に売り上げを伸ばして来た。
購買層は、ホテルで外国人が多いということで外国人客を対象に売っていたが、2003年にSARSが、起こり観光客が激減し経営が悪化。これを契機に戦略を中国人の富裕層を対象にすることに転換した。これが、功を奏し現在、売り上げを伸ばしている。
まさに「ピンチをチャンスに変えた」。

その2、「失敗から学べ」 コクヨ
日本では、文房具、オフィースメーカーとして有名である。
中国での戦略は、中国に進出する企業のオフィスが必要な家具からインターネットなどの設備をトータルに整えるオフィス構築サービスをして売り上げを伸ばしている。
実は、コクヨの中国進出は、2度目である。
1997年に各社の中国進出ブームに乗って工場建設。しかし、失敗し撤退した。

そして、そのときの失敗を元に徹底的にリサーチ。
中国に進出している企業にアンケートをとるなどして背水の陣を敷いて再度今年、進出した。
2010年度には、50億の売り上げを目指している。


ゲストコーナー
デクシア クレディ ローカル銀行 東京支店長 ロベール・ヴェルディエ氏

信太明 (アウンコンサルティング株式会社 社長)



1968年福島県生まれ。早稲田大学在学中からリクルートにて教育情報誌の企画営業に従事し、1992年同大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。1993年日本ネットワーク研究所に移り、1996年ABCマートに入社、1998年にアウンコンサルティングを設立。検索エンジンマーケティング(SEM)の先駆者として、検索エンジン最適化(SEO)や検索連動型広告(P4P)の有効性を広く啓蒙するため尽力中。2005年11月東証マザーズに上場。IRにも積極的に取り組む。
また中国対象のウェブ・マーケティング事業の草分け存在として知られている。