パナソニック スペシャル 次世代への羅針盤 伊藤元重の経済×未来研究所
第13回放送テーマ
5月30日(土) 夜8:00~8:55


「逆転の発想で勝機を掴め! ~ヒット商品開発の原動力~」

今、現在、スタンダードになっている製品も、開発当初は、
それまでにない画期的なものだった。
長く人の心を掴むものほど、いつもイノベーションがあり、
逆転の発想と呼べる、ユニークな視点の転換がある。
視点を変えるだけで、世界観が変わり、人々の意識の違いも鮮明になる。
大切なのは、ものごとを一面だけからではなく、多方向から見ること。
既成概念から脱却することが、ヒット商品へと結びつく。
番組では逆転の発想でビジネス展開をしている様々なケースを紹介する。

「発想の転換」
(1)歯医者さんが作ったチョコレート
今、全国の歯科医院で販売され注目を集めているものがある。それは、なんとチョコレート。実は、虫歯の原因は、チョコレートに含まれている砂糖で、原料のカカオには、何の問題もない。そこで、砂糖の代わりに、歯に良い甘味料キシリトールを配合した虫歯予防のできるチョコレートを開発。このチョコレートは「治療ばかりしていても、虫歯は減らない。虫歯を予防することが大事」という歯科医師の発案で生まれた。
(2)消せるボールペン パイロット
ボールペンは「書いたものが消えずに、きちんと残る」が特徴。しかし、大手筆記用具メーカーのパイロットは、あえて「消える」→「消せる」の特徴を持ったボールペンを開発。その名もフリクションボール。ペン本体の後部に専用ゴムがついており、その摩擦熱を利用してインクを消している。
この消せるボールペンはビジネスマンや学生に圧倒的支持を受けている。


「固定観念の転換」
(1)大人のお菓子 江崎グリコ
お菓子は「子供のもの」という概念を覆し、大手菓子メーカー江崎グリコは「GABA」「オトナグリコシリーズ」「チーザ」など、大人をターゲットにした商品を次々に開発しヒットさせている。また、男性ビジネスマンをターゲットに「オフィスグリコ」という、オフィスにお菓子ボックスを置くビジネスモデルを展開し、人気を集めている。
(2)体に脂肪がつきにくい油エコナ 花王
体に脂肪がつきにくい油として発売し、大ヒット商品となったエコナクッキングオイル。この油はもともと「口溶けの良いチョコレート」を開発しようと研究している時の副産物で廃棄されていたものだった。しかし、エコナ開発者はこの廃棄されていた油の有用性を見逃さなかった。開発者がもし、固定観念に縛られて、見過ごしていたならば、この商品は開発されなかった。

「消費者目線の転換」
キノコの石突の販売 オイシックス
インターネット専門の食品宅配サービス「オイシックス」。2000年の創業以来、業績は右肩上がりだ。この急成長を支えているのが、販売者の目線から、消費者の目線に移行した、柔軟な発想によるユニークな商品展開。あえて、ふぞろいの野菜を取り揃え、消費者に格安で販売する「もったいない」コーナーが人気で、マッシュルーム、えのき茸、椎茸などの軸の部分だけを集めて販売したところ、3週間で1万3000パックを売り上げた。この急成長を続ける企業を伊藤教授が現地に赴き徹底取材する。


取材先
・ 歯医者さんが作ったチョコレート
・ パイロット
・ 江崎グリコ
・ 花王
・ オイシックス



ゲストコーナー

松井忠三 (良品計画 会長)

ゲスト:松井忠三 (良品計画 会長)



1949年 静岡県生まれ。
1973年 東京教育大学(現筑波大学)卒業、(株)西友ストアー(現 (株)西友)に入社。
1992年 ㈱良品計画に入社。
1993年 取締役総務人事部長
1994年 取締役無印良品事業部長
1999年 専務取締役流通推進部長兼人事部・総務部管掌
2001年 代表取締役社長に就任
2008年2月より現職。