パナソニック スペシャル 次世代への羅針盤 伊藤元重の経済×未来研究所

第15回放送テーマ
9月26日(土) 夜8:00~8:55


「サービスで差をつけろ! ~付加価値戦略の決め手~」

「サービス」という言葉を国語辞典で紐解いてみると、「奉仕」「給仕」「接待」とある。「サービス」とは、つまり、相手を喜ばせること。
高度経済成長時代の、まだ「物質的な豊かさ」が浸透していなかった時代は、商品そのものの利便性や魅力によって、顧客は満足感を得ることができ、メーカーもまた、品質の向上にポイントを絞って、商品開発に集中できた。現代では、性能の良い「もの」が全国の家庭に行き渡っており、それを所有すること自体で得られる満足度は、低下していると言える。これからは、その商品を所有することによって得られる、サービスの違いによって、客の購買意欲に大きな変化が現れてくる。そういった意味で、サービスを戦略的に捉える必要がある。商品開発の段階から、サービスをワンパッケージで考えることであり、サービスによって、商品価値が高められるようなシステムを構築すること。つまり、「商品を買った後に、サービスがついてくる」のではなく、「こういったサービスが受けられるから、この商品が欲しい」と、消費者に思わせることで、差別化を図るということが大切になってくる。
番組では「サービス」の観点から様々なケースを紹介する。

「消費者目線のサービス」
東急ストア

通常、値引きシールは、閉店間際のスーパーが、見切り品などに貼られるものだが、東急ストアが実施している、消費者が自分で貼れる値引きシールが話題を呼んでいる。その名は「勝手値(買ってね)シール」 1シート20円引きのシールが10枚綴りとなっており、欲しい商品に1枚ずつ貼って使用すると言うもの。19日(東急の日)限定のサービスだが、価格に敏感な客が押し寄せ、開店10分でシールはなくなってしまう。

「一石二鳥のサービス」
そごう・西武

今年に入って百貨店が行っている下取りサービスが人気を博している。4月に小田急百貨店が行った下取りサービスが成功をおさめると他の百貨店も、魅力的な下取りサービスを企画し、これを追った。そんな中、全国に店舗をかまえる百貨店、そごう・西武では親子を対象とした 下取りセールを実施。
下取りの対象となるのは、不要になった、子供服や子供靴。これらを持参すれば、一点につき、525円の割引券がもらえる。これまでに、4回実施し、5回目となる今回は夏休み期間中にあわせた企画となっている。

「客を呼ぶサービス戦略」
オートショップテラカド

茨城県東海村にあるハーレーダビッドソンの正規販売店、オートショップテラカド。このオートバイショップ店舗敷地内には全長600メートルのオートバイ試乗用コースが備わっている。敷地内にあるため大型自動二輪の免許がなくてもハーレーに試乗することができ、バイクに乗ったことのない人でも50CCのバイクから練習することができる。また、家族連れの顧客のために子供の遊具スペース、キャンプスペース、バーベキュースペース等を完備。オートバイを中心に顧客のレジャー全般をきめ細かくフォローするこれらのサービスが好評を博している。

「広がるサービスの輪」
Tカード

今、ポイントカードの市場規模は、推定7000億円といわれ、日本経済への影響も大きくなった。なかでも国民の4人に1人が保有しているTカードの急成長には目を見張るものがある。会員数は3200万人。レンタルCD・DVDショップのツタヤのポイントカードに端を発したTカードは、飲食店やコンビニ、スーパーマーケットなど異業種を巻き込んだ共通ポイントカードに成長し、現在、加盟企業53社、店舗数はおよそ3万店に上る。どの店のポイントも、このカード1枚に貯められて、ポイントの使い勝手が良くなり、高い支持に繋がっている。なぜ、Tカードは急拡大したのか。伊藤教授がTカード人気の秘密を取材した。


取材先
・東急ストア
・そごう横浜店
・オートショップテラカド
・TUSTAYA(Tポイント)

ゲストコーナー

ゲスト:酒井光雄 (ブレインゲイト 代表取締役)

1953年生まれ。学習院大学法学部卒業。日本経済新聞社が実施した「経営コンサルタント調査」で、世界4大会計事務所の一社と同ランキングに選ばれたマーケティングのコンサルタント会社、ブレインゲイト㈱代表取締役。著書に「コトラーを読む(日本経済新聞出版社)」「価格の決定権を持つ経営(日本経営合理化協会)」など多数。日経MJや日経NETBizPlusなどの連載と、日経BP社日経BP広告賞選考委員、(社)日本マーケティング協会日本マーケティング大賞運営副委員長も務める。