パナソニック スペシャル 次世代への羅針盤 伊藤元重の経済×未来研究所

第17回放送テーマ
1月23日(土) 夜8:00~8:55


「地方の時代 ~元気な故郷から日本再生~」

世界的不況の下で、日本の大企業も苦戦を強いられる中、地方に目を向けると増収増益を上げている元気な企業が、実はたくさんある。
例えば、今、話題の「ユニクロ」の本社は山口市。家具・インテリアの「ニトリ」は、札幌市。本社機能を地元に残すことで、地元地域の活性化に貢献。「ニトリ」は夕張市の支援事業にも尽力していることは、世間一般には知られていない事実。実は日本を代表する企業が、地方から進出しているのだ。
一昔前ならば、地方で起業して成功を収めると、東京や大阪といった中心都市に進出するというのが一般的だった。しかし、現在のように交通網が発達し、情報化が進む状況の中で、わざわざ地代の高い都市部に移転するメリットは少なくなっている。
大企業に限らず、たとえ個人経営の店であっても、インターネットを駆使して世界を相手にビジネスが出来る現代では、本拠地の場所は関係ない。アイデアと機動力が勝負の要。キーワードは「お国がら」。地方ならではの、特色ある文化や産業を生かすことによって、活力を生み出すことが出来る。今回、番組では、その様々なケースを紹介する。


「地方から世界へ」

坂本乙造商店
英和辞典で「JAPAN」を調べると「漆」という文字が現れる。このことは漆が国名よりも有名だったことを物語っている。福島県会津若松市は安土桃山時代より漆産業が盛んで、現在でも300社以上の漆企業が軒を連ねる。そんな漆の町にある坂本乙造(おとぞう)商店は1900年創業の老舗企業。漆の加工が施されたアクセサリーや小物を製造、販売しており。その洗練されたデザインや高い技術に裏打ちされた、確かな品質で人気が高い。また、坂本乙造商店は、様々な製品に漆加工を施す技術を持っているオンリーワン企業でもあった。

ミナミ産業
世界18カ国で販売し、10万セットをも売り上げたという土鍋「萬来鍋」。その評判の鍋を造っているのが三重県四日市市にある、豆腐製造機メーカーのミナミ産業。元来、豆腐は、作るのに時間と手間がかかり、また、熟練した職人が作ってはじめて、固まり具合のムラをなくすことが出来る非常に技術のいる食材だと言われている。しかし、この万来鍋での豆腐作りは非常に簡単。鍋に豆乳とにがりを入れ、10分間火にかけるだけ。たったこれだけで、ムラなく固まり誰でも簡単に豆腐を作ることができる。しかも、出来たてアツアツの状態で食べることが出来る。萬来鍋誕生には四日市の地の利が生きていた。

「B級グルメで街おこし」

富士宮やきそば学会
全国各地で独特のファンを持つB級グルメ。その中で、街おこしに最も成功した御当地メニューとして有名なのが、富士宮やきそばである。そもそも、どこにでもある「やきそば」で、地域の活性化を図るという発想は、これまでにないものだった。仕掛け人は、富士宮やきそば学会会長の、渡辺英彦さん。今では、やきそばツアー専用の直行バスが、定期運行するほどで、富士登山と並び称される、富士宮観光の目玉となったのである。市内に、160軒ほどあるやきそばの店は週末や連休ともなれば、全国からの観光客で賑わいを見せる。2000年にはじまった、富士宮やきそばブームによって、もたらされた経済効果は、実に500億円に及ぶと言う。その成功の秘密を探るため、伊藤教授が富士宮を訪ねた。



取材先
・坂本乙造商店
・ミナミ産業
・富士宮やきそば学会


ゲストコーナー

ゲスト:大久保 幸夫 (リクルート ワークス研究所 所長)

1961年生。1983年一橋大学経済学部卒業。同年株式会社リクルート入社。
人材総合サービス事業部企画室長、地域活性事業部長などを経て99年にリクルートワークス研究所を立ち上げ、所長に就任。専門は人材マネジメント、労働政策、キャリア論。