王様の家

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ストーリー

【2013年9月19日(木)放送】 第8話 「相棒復活」

突然押しかけてきた謎の男・野間口大介(ベンガル)。偉そうに「お前、いい暮らししてんな」と豪語して陽介(市村正親)の頭を撫でたというから只者ではない。翔(要潤)からその話を聞かされた牧野(石倉三郎)は、嫌な予感に苛まれる。そんなことが出来るのは、この世にただ一人しかいない。
「キングの昔の相方だ。どのツラ下げてノコノコと……」
役者に転向すると言って勝手に姿を消した、陽介の漫才時代の相方である。過去のことを思い出すと、牧野は怒りが納まらない。
しかし、陽介はそれほど大介に対する怒りはなかった。体が自然に相方として受け入れてしまっているようだ。
「一回だけ、漫才をやろう」
それが、大介が現れた目的だった。妻が病気で余命幾ばくもない。その妻を喜ばせるために、陽介との漫才を見せてやりたいと言うのだ。
牧野は反対する。大介は昔からホラ吹きで、何回も騙されてきた記憶があるからだ。
「本当だったらどうする? 俺は大介の奥さんのために……」
陽介は一度だけの再結成を決意していた。
かつてのコンビ名は『サンサンボーイズ』。陽介がボケ、大介が拳で側頭部に思いっきりツッコミを入れるスタイルだ。
やると決めたからには、絶対に成功させる。奥さんを爆笑させてやる。そう決意をみなぎらせ、かつてのネタ帳を引っ張り出して稽古に励んだ。かつて売れなかった日々で止まってしまった時間を取り戻すかのように。
しかし、約束の日に大介は現れなかった。昔も営業の仕事でドタキャンされたこともあった。また裏切られたのだ。きっと妻の病気の話も嘘だったのだろう。
再結成は幻と化し、そのまま陽介はいつもの日々に戻った。
一週間後、何事もなかったかのように、再び大介が現れた。
「俺はお前とずっと漫才をやりたいと思っていたから、コンビを続けた。それなのに、お前は突然辞めた。そんなに俺はダメだったのか! 今回も俺は待っていたんだぞ。どこまで勝手なヤツなんだ!」
積年の恨みと怒り、やるせなさをぶつける陽介。
「あいつ、逝っちゃったんだ。一週間前に」
大介の妻は、二人の漫才を見ることなくこの世を去ってしまったのだった。最期まで大介を信じていたという。
「やろう、漫才」
陽介が亡き妻に向けて漫才をやろうと言った。陽介にとって、今の自分があるのは大介のおかげだと思っている。漫才を辞めてからも、いつも心の中にいるライバルであり、仲間であり、最高の相棒であった。
二人は大介の妻の写真を机の上に立てると、かつてのネタを披露するのだった。その様子を見た者は、誰もいない……。