にっぽん今昔道 江原啓之のちょっと道草
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ストーリー

感謝の心で暮らす伊勢




「にっぽん今昔道」今夜の道草、舞台は三重県伊勢。 江戸時代には伊勢神宮へお参りに行くことが全国的に大流行。今では年間数百万の人々が訪れるといいます。

最初の道草は「おはらい町」へ、ここは伊勢神宮の内宮へと続く参道沿いに発達した町。みやげ店などで常に活気に溢れています。

いきなり江原が立ち寄ったのは伊勢海老コロッケのお店、さっそく「美味しい」を連発!醤油まんじゅう、豆腐ソフトクリームなどふらりふらり次々と道草する江原。「この町は私にぴったり」とお喜び!!ついには着物にあうアクセサリーまでお買い物。

さらに伊勢参りの方々とふれあい。埼玉、滋賀、静岡、など全国からやってくる多くの参詣者と出会う事ができました。

そして一軒の和菓子屋さんへ、そこでは様々な事を教えてもらう事に… 「おはらい町」名の由来は、かつて「御師(おんし)」と呼ばれる下級神官たちが住み、一般の参詣者たちのおはらいなどをしていたから。そしておはらい町の家々の屋根は、この地独特のもので「妻入り様式」という。伊勢神宮の神殿が「平入り様式」なので、神様と同じでは恐れ多い、ということで妻入りになったそう。「その気持ちが尊い」と感じる江原

伊勢には昔から今も変わることなく、神宮と深い縁でつながっている場所が多い。そんな老舗のひとつが大豊和紙工業大豊和紙は、神宮の御神札やお守り、暦を作るための御用紙を奉製している特に手漉きで作るのは非常に技術が必要。この会社でも職人は2人のみ江原も手漉き和紙作りに挑戦。手漉きの難しさを体感する。こちらの御主人から苦労話をうかがうと… 「1300年の遷宮の歴史がある神宮が和紙にも求めるもの、それは『変わらぬ品質』。見た目や風合いは常に同じでなくてはならない。そのため、社員約20人のうち、その半分は神宮へ納める和紙の検査要員。」その作業の繊細さに驚く江原。御主人は続ける「細々とした商売ですが、こうして私達が和紙作りに専念できるのも全てお伊勢さんのおかげ」と…

次に訪れたのは、普通の住宅街・・・。するとタイムスリップしたかのような一角が突然現れる。それは江戸時代から今もなお営業を続ける麻吉旅館。

かつて、この地には70軒ほどの遊郭があり、1000人以上の遊女たちがいた。麻吉旅館は、色里の料理屋として始まった。『東海道中膝栗毛』にその名が出てくることで、200年以上はたっている、ということがわかっている女将と出会い旅館内を案内してもらうと、昔ながらの竈、玄関、渡り廊下など その趣は長い歴史をそのまま閉じ込めたような空間となっている。江原もその美しさに感嘆する

昔ながらの建物で苦労する点を聞くと… 「現在の消防法のもとでは、もう同じように建て直すことができないので、壊れたところを修繕しながら今の状態を保っている」という言葉が返ってきたバリアフリー化が進む現在の旅館事情についても… 「一時期、深く悩んだ事もあった。新しい事を追い求めて古いものを改装してしまった事もある。だけどある時、バリアフリーっていうのは、受け入れる側の心の問題だと気づいた」その言葉にはしっかりとした信念が見える

そして「こうして、この旅館をやっていられるのもすべてお伊勢さんのおかげ、と常日頃から感謝の気持ちを忘れずに過ごしている。」と… 江原も当時の心そのものが残っている事に感動!伊勢に深く根付いている感謝の心に脱帽の思いでした。