にっぽん今昔道 江原啓之のちょっと道草
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ストーリー

新潟県・「新潟寺泊から願う祈り」




「新潟寺泊から願う祈り」
今回は日本海を望む新潟県長岡市寺泊で道草です。
寺泊は江戸時代、北国街道の要地として栄えた港街。
"日本海の鎌倉"といわれ古い歴史と美しい自然、多くの寺院が残ります。
また街道の港町として名残が色濃い町には、日本海から揚がる新鮮な魚介類を求め多くの人が訪れ賑わいを見せています。

寺泊港から道草をスタートした江原が見つけたのは白山媛神社。
日本海を望む高台に位置する町の鎮守様は、以前、江原が金沢で立ち寄った白山比咩神社から分霊した神社です。
本殿へと続く長い長い階段を目の前にして気後れする江原。そんな人のために鳥居の下にはなんと賽銭箱がありました。
本殿まで行かずともお参りが出来るようにと置かれているのだそうです。

階段を上ると広がるのは寺泊と日本海を一望する眺望。
遠く佐渡島を望むこともできます。
そんな港町の鎮守様には海運にまつわる貴重な物がありました。
それが江戸時代から明治時代にかけて奉納された「船絵馬」です。
「船絵馬」とは海運業を営む船主や船頭が、航海の安全を願い奉納したもの。
江戸時代、北前船の寄港地として栄えた寺泊には多くの船乗りが訪れ、船絵馬を奉納したといいます。当時の航海の様子が詳細に描かれた船絵馬は、歴史的な価値も高く国の重要有形民族文化財に指定されています。貴重な歴史遺産を前に江原も大満足。

「船絵馬」のみならず寺泊には、今も残る貴重な工芸文化があります。
それが「ふるい作り」。明治期には「ふるいの里」と呼ばれるほど多くの職人がいたといいます。そんなふるいを作るお宅へ。
足立茂久商店は江戸時代から続く"ふるい・裏漉し・曲げ物"の専門店。
寺泊がふるいの里と呼ばれたのも今は昔。現在製造を行うのは、ここ一軒となってしまいました。地域に残る伝統を守るため奮闘するのは11代目の足立照久さんです。

11代目曰く「ステンレスなどの安価で大量生産できるふるいが作られているが、昔ながらの木枠と真鍮の網で出来たふるいには道具としてのしっかりとした機能が備わっている」といいます。違いの良さがわかる職人の為にこれからも作り続ける、その言葉に江原も共感です。

家業を受け継ぎ頑張る11代目は先代である父のもとで修業を始めました。
しかしその父は今から3年前に他界。まだまだ教えて欲しい事があったといいます。
そんな11代目に先代からのメッセージを江原が届けます・・・。
伝統を受け継ぎ明日へと進み続ける寺泊の人々から、想い願う祈りの強さを教えられた道草でした。