にっぽん今昔道 江原啓之のちょっと道草
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神奈川県・「足るを知る心・小田原」




今回の道草は、神奈川県小田原。
北条氏の本拠地・小田原城の城下町として栄えた歴史ある町です。

最初に道草したのは、明治27年創建の「報徳二宮神社」。
鳥居をくぐると…薪を背負って勉学に励む「二宮金次郎(通名)」像を発見。
こちらは、あの「二宮金次郎」を祀った神社なのです。

小田原に生まれた二宮金次郎は、幼少期に家が貧乏になりさらに両親を亡くすなど、様々な困難にあいながらも、勉学に励んだため成功したという話は有名です。
しかし江戸時代に農村から幕府、藩士らの財政再建を手掛けたという一面は、あまり知られていません。

先代の宮司、草山昭さんに出会い、二宮尊徳の思想にある4つの大原則、「至誠」、「勤労」、「分度」、「推譲(すいじょう)」についてお話を伺いました。
尊徳の思想からは、“私欲利欲に走らず周りに貢献できるように常に実行する”ことの大切さが感じられる言葉ばかり。江戸時代に既に説き広められていた“報徳”の教えが まさに今この時代に合致すると感じ、身をつままれる思いの江原でした。

小田原の町中を歩いていると「市場横丁」と書かれた石板を発見。
江戸時代、魚市場が開かれた場所ということで、現在もたくさんの蒲鉾屋が軒を連ねます。
その中で「元祖小田原蒲鉾」と書かれたお店へ。
1781年創業の「鱗吉(うろこき)」。今年で230年を迎えた老舗です。

小田原蒲鉾は、江戸時代頃から隣接する海で獲れた新鮮な魚を無駄なく保存できるようにと蒲鉾に加工されて広まっていったといわれています。

お店の裏に工場があるということで見学させて頂きました。
職人さんが作っていたのは、鱗吉の人気商品「てこね揚げ」。
タネを手で丸めて揚げるため、形は不揃いですが口の中で噛んだ時の食感をいろいろ楽しめるようにと、わざと不揃いにしているのだそうです。
揚げたての「てこね揚げ」を頂いた江原。手作りならではの美味しさに出会いました。

専務の田代守孝さんは「工場が狭いけれども逆手にとれば手の届く範囲で作っている」と話してくれました。ないものを嘆くのではなく、足るを知ってそこにあることに感謝する気持ちを今一度見直そうと気付かされた道草でした。