太陽帝国の新たな伝説~もうひとつのマチュピチュを求めて~

太陽帝国の新たな伝説~もうひとつのマチュピチュを求めて~

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放送内容


15世紀初頭、遠く地球の裏側、現在のペルー南部の都市クスコに1人の英雄が現れた。
その名は「パチャクティ」。
3000mを超える高地にあるクスコを足がかりに、地方の一部族にすぎなかったインカを、南米大陸史上最大の帝国へと導く礎を築いたインカ帝国第9代皇帝だ。

世界遺産「マチュピチュ」の建設者としても名高い。
しかし、ローマにも匹敵する道を築き、高度な石壁建築都市を作り上げたインカ帝国は、栄華を極めて100年もたたないうちに、わずか数百名のスペイン人探検家によってあえなく滅ぼされてしまう。

あまりに劇的な栄枯盛衰の歴史、そして文字を持たなかったことから、インカ帝国は長い間、謎に包まれたまま眠りについていた。そんなインカの空中都市・マチュピチュが再び姿を現したのは、今からおよそ100年前。1人のアメリカ人探検家が発見したときのことだ。

以来、さまざまな研究者がマチュピチュの、そしてインカの謎に魅了され、かの地を探索して回った。それでも、いまだ「マチュピチュとは何だったのか」という根本的な謎の答えは得られていない。
番組では、インカの歴史に登場する人物たちが残した言葉とその人生をたどりながら、あらためてマチュピチュにスポットを当てる。最新の遺跡調査に、初めてテレビ取材が同行。
そうして見えてきたのは、我々の想像をはるかに上回るスケールの“真のマチュピチュ”ともいえる姿だった。さらに、道なき道を進み、橋なき川を越え、マチュピチュとの類似性から姉妹遺跡とも呼ばれる「チョケキラオ」への取材も敢行。


冒険取材の果てに目にしたものは、マチュピチュの謎に迫る新たな発見だった。
インカ帝国が建国にかけたすさまじいエネルギーを、あらためて思い知ることとなった。
驚くことに、帝国の力の源泉は武力ではなく、優れた農業力にあったという。
アンデス山脈に囲まれた厳しい環境の中で、太陽を神として自然の仕組みを理解し、作物の改良を重ねたインカの民。当時の最先端テクノロジーを駆使しながら、農業力を基盤として国力を増大させていった。

インカに伝わる「嘘をつくな。盗むな。怠けるな」というおきてにも、その一端が現れている。

そして、インカの末裔(まつえい)といわれる人々との出会いも。100頭のリャマと暮らす放牧家族。
“神の酒”といわれるインカ伝統のトウモロコシの地酒を作り続ける老夫婦。

世界で最も高い所にあるといわれる古代からの塩田で、代々手足にひび割れを作りながら塩づくりに励む家族。彼らは昔と変わらないインカの風習を受け継ぎ、大地から得る恵みを、太陽の神に感謝しながら生きている。
そうした意味では、インカはまだ滅びていないのかもしれない。
マチュピチュを、インカの民の原点である「自然に対する畏怖と感謝」の象徴として見ると、現代人にも示唆を与える深い知恵を感じることができる。


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