レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶルネサンスの3大巨匠の1人と言われるラファエロ。日本人にとっては美しい彼の自画像以外にはなかなかその絵が思い浮かばないかもしれません。浮かぶとしたら「システィーナの聖母」の下の方で何か夢想しているような天使たちくらいかもしれません。
しかし、16世紀初頭、ラファエロはレオナルドやミケランジェロより遥かに人々に愛され、その絵を欲しがられた画家でした。そして25歳にして時の法王ユリウス2世のお抱えの宮廷画家となり、教皇の居室を飾る壁画の数々を残しました。その絵はレオナルド・ダ・ヴィンチの技法や構図を取り入れ、さらにミケランジェロの描く筋肉や骨格の動きや鮮やかな色彩の表現も組み込み、その上中世からの伝統技法をも融合するという高いレベルのものでした。ラファエロのことを「ルネサンスの到達点」とも言うのはこのためです。
ラファエロはイタリア、トスカーナ地方の小さな町に画家の息子として生まれ、7歳にして母を亡くし、11歳にして父も亡くしました。画家の才能に恵まれていた彼は17歳にして親方となり、21歳でフィレンツェに進出しました。ここで彼はレオナルドに教えを受け、ミケランジェロの技に出会い、吸収しました。その才能はローマにも届き、法王の招聘を受けるに至りました。そしてローマでも巨匠たちとの再会が人生を変えていきます。
番組では20点以上のラファエロの作品を今回ご紹介します。フィレンツェからローマへ。彼の人生の足取りと共にルネサンスの最も熱かった季節をご堪能ください。