SHISEIDO presents エコの作法
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バックナンバー

2012年11月2日・23日
「手仕事×伝える」 後編

時は移り変わっても、変わらない自然の美しさ。
そんな自然の中に存在する様々な素材を利用して、私たちは身の回りの道具を作ってきました。
"手間とひま "をかけ、丁寧に作られた工芸品。
その姿は自然の美しさの名残を感じさせ、暮らしを華やかに彩ってくれます。
価値観や美意識の変化にあわせ、その時代に合った道具が作られてきました。
そんな、時代の変化を形にしてきたのが職人の「手」。
伝統の技術を受け継ぎながら、その時々で求められる様式やデザインの道具を、
生み出してきた職人たち。
今回はそんな若き職人を訪ねます。

手漉き和紙の産地として知られる内子町の五十崎和紙。
まるで木漏れ日のように外の光をとりこむ格子柄の和紙は「呼吸する和紙」と名付けられました。
この和紙を漉いているのは、内子町出身の佐藤友佳理さん。
この道に進むきっかけは、以前、イギリスに留学で海外に出たことで、地元の良さに気づいたといいます。
帰国後、内子町が始めた五十崎和紙の復興プロジェクトに出会いました。
佐藤さんは、伝統的な工法とはまた違った新しい時代の五十崎和紙を作っています。
木の枠に、格子状にかけられた糸。
細い糸はコットン、太い糸は、和紙を細かく裂いて紐状にした紙縒りです。
不規則に空いた穴。和紙の素材にも工夫がありました。
和紙の原料となる楮に、水や気体の分子を吸着するゼオライトという鉱物の粉を混ぜることで、
変化にとんだ和紙の表情が生まれます。
一度、海外に出たことで気づいた日本の伝統の魅力。
そこに、海外で磨いたセンスや経験を重ねて佐藤さんの和紙は生まれています。

九谷の絵付けを専門にしている山下紫布さん。
伝統の九谷焼をルーツとした山下さんの作品。
九谷では決して使わない黒を使い、現実には存在しない想像上の花々を色鮮やかに描きます。
黒という色は、華やかな色使いを際立たせる、陰の主役。

伝統の彩色技術は受け継ぎながら色使いには現代的なセンスを取り入れ斬新な作品を作り出す。
元来、伝統とは、そういうものなのかもしれません。

京都市内から1時間以上の山と森に囲まれたこの場所で、
木を生かした家具づくりをする若き職人がいます。
上田大輔さんと亜紀さん。夫婦でデザインから制作まで、自然にこだわった
オリジナル家具や雑貨を作っています。  
つみきの家具は自然そのまま。素材にするのは 天然の無垢の木だけ。
塗料も荏胡麻油や桐油、漆といった天然塗料のみ。
彼らの家具は、釘やねじなどの金具も一切使っていません。
釘やネジを一切使わない「組み手」といわれる伝統的な方法で、すべてのパーツは繋がれています。
宮大工に伝わる、日本の伝統の工法に出会った大輔さん。
そこには、木の命を生かす「ものづくりの心」がありました。
木と木を組みあわせる、自然の理に適った日本の技術を大輔さんは現代の家具に応用したのです。

そして、もうひとつ。日本の森の特徴を生かした木の伝統を受け継ぐ技術。
箱根寄木細工。木の種類が多い日本ならではの木工芸品です。
色の異なる天然の木を貼り合わせて作る複雑で幾何学的な模様。
木の色はすべて自然の色です。
特に木の種類が多かった箱根の山。そこに寄木細工は生まれました。
木の自然な色合いや木目を生かし、木材を貼り合わせて美しい模様を作り出します。
その寄木細工の新たな魅力を発信する若き職人が小田原にいました。
太田憲さん。
埼玉県出身の太田さんは、日本に昔から伝わる、木を扱う手仕事をしたいと思い、
寄木細工が盛んな、この小田原にやってきたのです。
太田さんは「二崩し」といわれる伝統的な模様を現代風にアレンジし、
お盆やボタンなどの雑貨を生み出しています。

心を包み込むような、やさしい色の織物。
絹糸を染めるのは野山の草木たちです。 
クリの皮からは 栗色の糸。桜の枝からは 桜色・・・。
植物の中には、美しく、時に、思いもよらない色が秘められています。
自然の中から取り出した色を糸に染め、
布に織り上げるまでを一人で行う「染織」という手しごと。
染織家、清水繭子さん。自然豊かな鎌倉で、染織を行っています。
毎日のように地元の鎌倉の山に入ります。
山では、あくまでも、そのとき出会ったものを拾います。
その中には、思いがけない色が潜んでいるんだとか。
四季折々の自然の変化を感じるのも染織の大事な仕事。
色彩豊かな自然の恵み、その恵みをいただき、
新たなモノを生み出してきたのは、「人の手」でした。
手が伝える、草木に感じた 自然のやさしさと力強さ、そしてこの布を纏う人への思い。
時代は変わっても、母なる自然の恵みをいただいてものをつくるという人間の営みは昔も今も変わりません。
手間をかけ、ヒマをかけ・・・指先から一本一本の糸を通して伝わるのは
母が子を包むような、やさしくて大切な思い。
最近、自らも 母となった清水さん。自然に囲まれ、家族とともにある暮らし。

古きを学び、今を生きる若き職人たち・・・
彼らの手しごとからは、新しい、未来の伝統のカタチが見えてきます。

五十崎和紙職人 佐藤友佳里さん

株式会社りくう http://www.requ.jp

九谷絵付職人 山下紫布さん

縁煌ーえにしらー(金沢東茶屋街)
電話:076-225-8241
*器、花器、置物など常設

野村右園堂2階 紺屋坂ギャラリー(金沢兼六園)
電話:076-231-5234
24年11月24日~OPEN
*器、花器、置物など常設

銀座三越8階 ジャパンエディション
電話:03-3562-1111(大代表)
*香合、香炉、花器など数点のみ常設

家具職人 上田大輔さん 亜紀さん
家具工房『つみ木』

TEL&FAX:0771-86-1761
MAIL:info@tsumiki.net
http://www.tsumiki.net/index.html

寄木細工職人 太田憲さん

太田木工 http://ota-mokko.com
雑木囃子 http://www.zoukibayashi.jp

染織家 清水繭子さん

http://mayukoshimizu.jp

マニグリエ真矢さん


<プロフィール>
クリエイティブ・ディレクター
フランス出身 様々なデザインのプロデュースを通じ、日仏文化の架け橋として活動。2004年 海外で活躍するフランス人女性として「フランス国元老院院長賞」受賞