映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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六候「草木萌え動る(そうもく めばえいずる)」
七候「すごもりの虫戸を開く(すごもりのむし とをひらく)」

二十四節気の暦は雨水から啓蟄!

「草木萌え動る(そうもく めばえいずる)」
草木が冬の寒さに耐え、春の暖かい陽射しに誘われるように芽生え始める。そんな様子を表した候です。
「すごもりの虫戸を開く(すごもりのむし とをひらく)」
冬の間、土の中で冬眠していた虫達が「戸」つまり穴を開いて出てくる様子を表現しています。 今回の候では、春蘭、木の芽起こし、蛤、ひばり、山菜など、この季節の話題を楽しくお送りします。

花言葉は「美人、優雅な女性」。そんな女性に育って欲しいと子どもの名前にもよく使われる花、それが「蘭」です。その花言葉にふさわしい、美しく独特な花を咲かせます。こちらは、春に咲く「春蘭」。日本各地で楽しめる野生の蘭です。太陽の光が差し込む、少し乾燥した雑木林や松林などに自生しています。孔雀の羽根のように広がる葉の真ん中で、5センチ程の淡い黄緑色の花を1輪咲かせます。春蘭の花言葉は、「気品、清純」。その素朴さが親しまれており、日本庭園などでもよく栽培されています。

この時期の時候の挨拶に、「一雨ごとの暖かさ」という言葉があります。春になると、冬の間はあまり見られなかった雨が多くなります。そんな雨は、「木の芽起こしの雨」と呼んだりします。これは冬を乗り切った植物に暖かさを含んだ春の雨が降り、木々が芽吹き始める事から生まれた言葉です。 春の雨と言えば、「春雨(はるさめ)」とも言いますね。

春に旬を迎える貝類に「蛤」があります。産卵期は夏で、産卵に向け栄養を蓄えるのがまさに今なのです。また日本人との関わりは古く、縄文時代の貝塚から出てくる貝殻はほとんどが蛤だともいわれ、日本書紀にも登場します。蛤は、形が栗の実に似ている事と山で獲れる栗「山栗」に対して浜で獲れる栗という事で、「浜栗」と呼ばれたのが語源とされています。また、対となった貝以外とはピタリと合わさらない事から、「夫婦円満」の象徴としても愛されてきました。

日本人に古くから親しまれる鳥「ひばり」。春になると現れるという印象が強いですが、一年中同じ場所で過ごす留鳥なのです。しかし、体が茶色のひばりは、枯れ草などに姿が紛れてしまう為、鳴き声は聞こえても、春以外は目立たないようです。また「ひばり」という名前は、「晴れた日に空高くのぼって、鳴く」ことから「日晴る」が転じたとされています。また、漢字の「雲雀」も、雲に届くほど空高く舞い上がり、雀に似ているからだそうです。

春に味わう苦みといえば、山菜。「春には苦味を盛れ」ということわざもあるように、苦味を取る事は大事なんですね。冬の間、人間を含む動物たちは、できるだけ体を動かさず栄養を蓄える事で冬を乗り切ります。そして春になると、今度は体に溜めこまれた脂肪や老廃物を外に出すことで冬の体から春の体の状態へと変っていきます。山菜の苦みは、老廃物を外に出す手助けをしてくれるのです。