映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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十二候「雷乃ち声を発す(かみなりすなわち こえをはっす)」

二十四節気の暦は春分!

「雷乃ち声を発す(かみなりすなわち こえをはっす)」
日本海側の雪国では「雪起こしの雷」や「雪下ろしの雷」と呼ばれる冬の雷が、雪の降る合図でした。そして、冬が終わり春になると、他の地域でも雷が鳴り始めます。この候は、そんな春の雷の様子を表しています。今回の候では、春雷、遠足、あさり、真鯛、チューリップなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

春に鳴る雷を「春雷(しゅんらい)」と呼びます。本来、雷は雨の降る前兆として、農業などでは喜ぶべき事とされますが、「春雷」はあまり歓迎されないそうです。それは「春雷」が作物を傷める「雹(ひょう)」をもたらすからだとか。また「春雷や四月雷は日照りのもと」とも言われ、春に雷が多いと、その年の夏は日照りになると信じられてきたからだそうです。

野山を散策する事を「遠足」といいますが、かつては「踏青(とうせい)」と呼ばれていました。文字通り「青き草を踏む」という意味です。「青き踏む 左右の手 左右の子にあたへ」俳人・加藤楸邨によるこの句は、両手で子供たちと手をつなぎ、春の野を歩く様子を詠ったものです。この「青き踏む(あおきふむ)」は「踏青」が形を変えたもので、春の季語になっています。

アサリは、産卵を控え身が太るこの時期が旬です。浜辺を掘って「漁る(あさる)」事から、「漁る」が転じて「あさり」になったとも言われます。あさりを料理する際には、下準備である砂出しは欠かせませんね。味噌汁は定番ですが、おすすめは日本酒で蒸しあげた「あさりの酒蒸し」。酒蒸しにした事であさりの旨味が一層引き立てられます。

チューリップは秋に植えた球根が、この時期に咲き始めます。代表的な産地は、新潟と富山。国内の大半は、この二県で生産されるそうです。また栽培は、大正時代に新潟市で始まったことから、新潟が「日本チューリップ発祥の地」ともいわれ、チューリップは新潟県の「県花」になっています。ちなみに富山県の「県花」もチューリップ。富山県は、球根の生産量日本一で有名ですね。

春に獲れる「真鯛」は、産卵期にあたり旬を迎えます。色も鮮やかになることから、桜の咲き始めるこの時期にかけて「桜鯛」とも呼ばれます。体は平たく楕円形で、この平たい体から「平ら」の「たい」が転じ、「たい」と呼ばれるようになったといいます。鮮やかな赤い体色と「めでたい」との語呂合わせも手伝って、年末年始や結婚式など、おめでたい席には欠かせませんね。