映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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十五候「虹始めてあらわる(にじ はじめてあらわる)」

二十四節気の暦は清明!

「虹始めてあらわる(にじ はじめてあらわる)」
冬の五十八候「虹かくれて見えず」から数カ月、春になり陽の光も力を増し、雨上がりには虹がよく見られるようになる、といった事を表現した候です。今回の候は、虹、蜃気楼、メバル、椿、古川祭など、この季節の話題を楽しくお送りします。

「虹」は、かつて「ぬじ」と呼ばれていたそうです。これは、「虹」が池や沼の「主(ぬし)」だと考えられていたためで、ここから転じて「にじ」となったといわれています。また、漢字では「虫」に「工」と書きますが、「虫」は「蛇」を、「工」は「貫く」を表し、「蛇が空を貫いている様子」を表しているそうです。晴れた日に、ホースで水を撒いてみると、即席の虹が見られたりもしますよね。

蜃気楼は、密度の異なる大気の中で光が屈折して、地上や水上の物体が浮き上がって見えたり、逆さまに見えたりする不思議な現象のことです。蜃気楼の「蜃」は「大蛤」のことを指し、「気」は「息」、「楼」は「高い建物」のことを表しています。古代中国では、この蜃気楼のことを、大蛤が空中に吐き出した息によって描かれた楼閣であると考えられており、日本でもこの現象を蜃気楼と呼ぶようになったと言われています。

春の訪れを知らせてくれる魚を「春告魚(はるつげうお)」と呼びますが、「メバル」もその一つです。「メバル」の特徴といえば、大きな眼ですね。漢字で書くと、眼が大きく張り出しているから「眼張」となります。やはりメバルといったら煮付けが最高ですよね。煮付けの王様とも称される事もあるようです。

椿は、冬から春にかけて咲き頃を迎えます。葉は楕円形でぶ厚く、表面につやがあるのが特徴で「つばき」の名も「艶葉木(つやはき)」から来ているとする説があるほどです。ちなみに、椿を「海柘榴」と書く事があります。これは、海外から入ってきた「柘榴(ざくろ)」という意味で、椿の果実が柘榴と似ていたために起こった間違いから生まれたものだそうです。椿の花は、桜のように花びらがそれぞれに散るのではなく、房ごと落ちるのが特徴です。

岐阜県飛騨市古川町の気多若宮(けたわかみや)神社では、4月19日から20日にかけて古川祭(ふるかわまつり)が開催されます。祭りでは、勇壮な「起し太鼓」と豪華絢爛な「屋台曳き揃え」が人々を魅了します。特に起し太鼓は、勇壮で荒々しいのが特徴です。この祭は、その迫力と、男たちの出で立ちから、日本三大裸祭りの一つにも数えられています。