映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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二十六候「腐れたる草蛍となる」(くされたるくさ ほたるとなる)

二十四節気の暦は芒種!

「腐れたる草蛍となる(くされたるくさ ほたるとなる)」
蛍が水辺などで明かりを灯しながら飛び回る頃を表しています。古くは、腐った草や竹の根が、夏の暑さによって蛍に生まれ変わると信じられていた為に、この候が生まれたそうです。今回の候は、ホタル、コチ、シジュウカラ、トマト、まき夏まつりなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

涼しげな夏の夜を幻想的に照らし出すホタルの光。まさに夏の風物詩ですね。およそ40種類が日本に生息し、中でも特に日本人に親しまれているのが「ゲンジボタル」です。腹部が光る様子を「源氏物語」の主人公「光源氏」にかけたという説などが一般的です。また、すこし小型の「ヘイケボタル」も有名で、光の点滅が早いのが特徴です。ホタルが放つ淡い光は、「蛍火(ほたるび)」と呼ばれ、小さく消え残った火から例えられた言葉です。

夏が旬の魚「コチ」は、漁獲が少なく高級魚としても知られています。コチの体は、上から押しつぶされた様に左右に平たくなっており、胸びれの部分が大きく丸いのが特徴です。その昔、公家などが正装した時に手に持つ細長い板「笏(こつ)」に似ている事から、この「コツ」が転じて「コチ」となったと言われています。コチを、薄造りにしたものは、フグにも匹敵する旨さを持つ事から、別名「テッサナミ」と呼ばれています。

シジュウカラは、産卵の時期にあたり、子育てのために飛び回る様子がよく見られます。鳴き声は、よく「チ・チ・ジュクジュク」などと表され、名前の「シジュウカラ」の「シジュウ」も、この鳴き声を表したものだそうです。「カラ」はヤマガラの「ガラ」と同じように、鳥を表す接尾語です。また、鳴き声を何種類も使い分ける事が出来、仲間に餌の場所を教えたり、ヒナに天敵の種類を知らせるなど、驚くほど複雑な情報を伝え合っているそうです。

トマトは、一年を通して市場に出回る野菜ですが、旬はやはり夏です。この時期のトマトは、日光をたっぷりと浴び、糖度も高く、栄養価が最も高まるそうです。また真っ赤な色をしたナスのような野菜である事から、「赤茄子(あかなす)」とも呼ばれたりします。トマト産地で生産量日本一の熊本県。中でも「塩トマト」は、八代地域など土壌塩分濃度が高い干拓地などで栽培され、一般のトマトより糖度が高く、遥かに甘みが強いのが特徴です。

この時期、新潟県新潟市西浦区の巻地区では「まき夏まつり」が行われます。五穀豊穣と無病息災を祈願して行われるもので、「やかたおけさ」や「巻甚句(まきじんく)」を踊る民謡流しや、江戸時代から続く神輿渡御(みこしとぎょ)、山車、花火大会などが繰り広げられる、迫力ある祭りです。祭り最大の見所といえば、クライマックスで行われる「やかた竿燈(かんとう)」です。 竿燈とは、組立てた竹に提灯(ちょうちん)を吊るしたもので、祭最終日には、夕暮れの街に繰り出します。