映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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二十八候「乃東枯る」(なつかれくさ かるる)
二十九候「菖蒲はなさく」(あやめ はなさく)

二十四節気の暦は夏至!

「乃東枯る(なつかれくさ かるる)」
乃東とは「ウツボグサ」の事で、夏に枯れる草と書いて「夏枯草(かこそう)」とも呼ばれる植物です。この候は、六十四候「乃東生(しょう)ず」と対になっています。
「菖蒲はなさく(あやめ はなさく)」
アヤメの花が美しく咲く頃を表しています。今回の候は、夏の山、滝、アヤメ、カンパチ、愛染まつりなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

本格的な登山やハイキングシーズンの到来です。夏の山は、青々とした緑に覆われ、大変美しいですね。こうした風景は、古くから「翠巒(すいらん)」と呼ばれてきました。「翠」は緑を、「巒」は訓読みで「みね」とも読み、山の事を表し、緑色に連なる美しい山々を指す言葉です。また、日本の原風景ともいえる、周囲を山々が取り囲んでいる様子は、「青垣(あおがき)」と言います。

滝は「水が沸き立っている」や「水が激しく流れている」といった意味の古い言葉「激つ(たぎつ)」が転じたものとされています。特に有名なものは「名瀑(めいばく)」と呼ばれています。「瀑」には、これ一文字で、川の水が高いところから落ちて飛び散っている場所という意味があります。和歌山県の「那智の滝」、栃木県の「華厳の滝」、茨城県の「袋田の滝」、これら3つの滝は、その美しさ・雄大さから「日本三名瀑」と呼ばれています。

紫色の花を咲かせる「菖蒲(アヤメ)」は、剣のような細い葉の繁る様子が、織物や木目などの模様を意味する「文目(あやめ)」に似ている事から、菖蒲と呼ばれるようになったそうです。この漢字は、「あやめ」とも「しょうぶ」とも読む事が出来ますが、この二つ、違う植物なんですよね。「菖蒲」と「花菖蒲」、「杜若」の三種類は、見た目がよく似ている事で知られており、草花によほど詳しくないと、判別は難しいのだとか。「いずれ菖蒲か杜若」ということわざも、どちらも姿かたちが見分けがつかないほど似ている為、優劣つけがたい様子を例えて言う言葉です。

「ブリ御三家」これは、ブリ属の種類の中でも、とりわけ人気の高い3種類の事を指したもので、ブリ、ヒラマサ、そして今回ご紹介する「カンパチ」が「御三家」と呼ばれています。カンパチは、その中で最も脂が少ない種類とされ、冬の時期に寒ブリとして美味しくなるブリと、夏の終わり頃に旬を迎えるヒラマサの間を埋めるように、この時期が旬なのです。

大阪府大阪市にある愛染堂勝鬘院(あいぜんどう・しょうまんいん)では、毎年6月30日から7月2日にかけて「愛染まつり」が行われます。「天神祭」、「住吉祭」と並んで、「大阪三大夏祭り」の一つにも数えられています。祭りでは、「愛染かつら」という花をかたどった造花と、紅白の布で飾りたてた「宝恵駕籠(ほえかご)」に、浴衣姿の愛染娘たちを乗せ、「愛染さんじゃ、ホ~エ~カ~ゴ~!べっぴんさんじゃ、ホ~エ~カ~ゴ~!」といった掛け声と共に、街を練り歩くパレードが行われます。