映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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三十一候「温風至る」(あつかぜ いたる)

二十四節気の暦は小暑!

「温風至る(あつかぜ いたる)」
今回の候は、強い日射しの中で、肌にあたる風も次第に熱を帯びてくる頃を表しています。今回の候は、暑中見舞い、鱧、夏祭り、金魚、佃島の盆踊りなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

さて、「小暑」から、次の暦である「大暑」までの期間を、一年で一番暑い期間ということで「暑中」と呼びます。そして、この時期には、相手の健康を気遣い、手紙を送る「暑中見舞い」が古くから行われてきました。手紙の文面は、一般的に「暑中お見舞い申し上げます」の一文から始まり、「厳しい暑さの毎日ですがいかがお過ごしでしょうか」等と続きます。また、涼しげなイラストも入ったりしていると、もらう側も嬉しくなりますね。

この時期に旬を迎える魚に、「鱧(はも)」があります。関西では、「鱧は梅雨の水を飲んで美味しくなる」といわれ、梅雨の雨を含んだ海水で獲れた鱧は、格段に美味しいといわれています。鱧は、見た目からも分かるように、鰻や穴子と同じ仲間に属し、口が大きく、鋭い歯を持っているのが特徴です。この大きな口と鋭い歯で噛む事から、「食む(はむ)」が転じて、「はも」となったともいわれています。

夏も本番を迎えたこの時期は、いよいよ待ちに待った「夏祭り」のシーズン到来です。そもそも、夏祭りの起源は、夏の農作業の疲れを労ったり、夏の病を封じたり、死者を弔う行事を起源とするものが多いと言われています。今では、そのような深い理由だけではなく、帰省の時期と重なることも多い為、昔懐かしい人々との再会に心躍らせる行事となっています。夏祭りの楽しみといえば、やはり屋台などの出店ではないでしょうか。

夏祭りの屋台の代表的なものには、「金魚すくい」もあります。日本に金魚が伝わったのは、室町時代の中頃と言われています。当時、金魚は貴重なものとされ庶民には手の届かないものでした。しかし、江戸時代も後期になると、一気に庶民文化に広まっていきました。ちなみに、この金魚をすくう「ポイ」という名前は、「ポイ捨て」の「ポイ」からきているそうです。破れては捨て、破れては捨て。まさにポイ捨てですね。

毎年7月13日から15日までの3日間、東京都中央区の佃島では、「佃島の盆踊り」が行われます。江戸っ子といえば、祭り好きで知られていますが、東京には古い盆踊りはほとんど残っていないそうです。これは、幕府の厳しい治安維持の政策の為でしたが、その中でも、佃島の盆踊りは東京中心部でたった一つだけ伝承を許された、歴史の古い盆踊りです。300年以上も守られてきた、歴史ある踊り。古くから人々が愛してきた、盆踊りの真髄に触れてみませんか。