映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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四十六候「雷乃ち声を収む」(かみなりすなわち こえをおさむ)

二十四節気の暦は秋分!

「雷乃ち声を収む(かみなりすなわち こえをおさむ)」
春から夏にかけて、よく鳴っていた雷が聞こえなくなる頃を表しています。今回の候は、秋分、秋の彼岸、松茸、鮑、武雄の荒踊など、この季節の話題を楽しくお送りします。

この候から、二十四節気の暦が「白露」から「秋分」になります。秋分は、春分と同じように昼と夜の長さがほぼ同じになる事を意味し、この秋分を境にだんだんと昼の時間が短くなり、夜の時間が長くなっていきます。「秋の夜長」という言葉もあり、秋は夜の長さが長くなる時期としても知られています。

「秋の彼岸」は、国民の祝日「秋分の日」を中日(ちゅうにち)とした一週間の事です。彼岸の期間中は、墓を丁寧に掃除し、供え物を供え、静かに手を合わせ、先祖の安らかな眠りを祈るのです。そもそも「彼岸」とは「かの岸」、つまり「あちら側の岸」という意味で、私たちが生活している日常の世界ではない、「あちら側の世界」の事を指しています。

食欲の秋の代表格といえば、こちらの「松茸」です。最大の魅力は、その香りですね。松茸は、歴史的に見ても古くから食用として珍重されており、兼好法師の書いた随筆「徒然草」には、鯉や雉(きじ)と共に、三大珍味の一つとされています。また、豊臣秀吉も、自ら山に出かけ、松茸狩りを行う程、松茸が好きだったと言われています。さて、そんな松茸料理には、その芳醇な香りを生かしたものが良いですね。

秋の食材として、忘れてはならないのがこちらの「鮑」です。今の時期が旬で、身も大きく食べごたえがあり、大変美味しくなります。鮑と言う名前は、鮑が一枚貝である為二枚貝のように貝同士が合わさる事が無く、「貝が合わないで侘しい」が省略されて、「あわび」となったとも言われています。鮑は、蒸しても焼いても、独特の旨みと歯ごたえの良さが魅力です。今回は炭火で炙った鮑の上に、肝のソースをかけてどうぞ。

佐賀県武雄市では、例年秋の彼岸の中日に「武雄の荒踊(たけお の あらおどり)」が行われます。400年以上の歴史がある祭りで、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。この地域で伝承されてきた民俗芸能で、一説には、1530年にこの地が攻め立てられた際に、夜襲によって逆に敵を破り、その戦勝祝いとして、足軽たちが即興で踊りを踊ったのが始まりとされています。