映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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五十候「菊花開く」(きくのはな ひらく)

二十四節気の暦は寒露!

五十候「菊花開く(きくのはな ひらく)」
日本の秋を象徴する花「菊」が黄色や白、紫といった花を咲かせる頃を表しています。秋には、他の季節に負けず劣らず、美しい花が沢山見られます。今回の候は、秋桜、朱鷺、河豚、灘のけんか祭り、米など、この季節の話題を楽しくお送りします。

この花は「秋桜」です。原産はメキシコの高原地帯で、19世紀末に日本へ渡ってきたそうです。「秋桜」という名前は、花びらが規則正しく綺麗に並んでいる様子から、ギリシャ語で「秩序」や「美しい」という意味を持つ、「コスモス」という言葉があてられたといいます。「秋」の「桜」と書くのは、花びらが桜に似ている事から、「秋に咲く、桜に似た花」という意味なのだそうです。

「朱鷺(とき)」は、秋の季語になっています。現在は絶滅が危惧される鳥ですが、かつては、秋になると日本にやって来る渡り鳥で、秋の訪れを告げる鳥でした。全身は白っぽく、顔が真っ赤、そして翼が朱色です。この翼の色は「朱鷺色」と呼ばれ、「朱鷺」という漢字は、「朱色の鷺(さぎ)に似た鳥」ということからあてられたものだといわれています。

この時期、「河豚(ふぐ)」が旬を迎えます。「秋の彼岸から春の彼岸まで」が食べ頃とされ、寒さが本格的になると共に美味しくなるそうです。河豚は、エサとなる「ごかい」を見つける際、海底の砂を吹く事から、「吹く」が転じて「ふぐ」となったと言われています。また河豚の肝は、大変な珍味として知られていますが、当たると大変な毒に苦しめられてしまいます。そうした事から、大阪では、「河豚も鉄砲も当たれば死ぬ」という洒落から、河豚の事を「てっぽう」と呼ぶ事もあります。河豚の刺身を「てっさ」、ちり鍋を「てっちり」と呼ぶのは、この「てっぽう」に由来しているそうです。

兵庫県姫路市では、毎年10月14日~15日にかけて、「灘のけんか祭り」が行われます。神輿をぶつけ合う特殊な神事によって、「天下の奇祭」とも称されます。境内と門の外、それぞれの場所で屋台同士が激しくぶつかり合う「練り合わせ」が行われます。そして、外せないのが太鼓の演奏。「灘で打った太鼓が、瀬戸内海を越え、四国まで響いた」といった逸話があるほどです。

日本人の主食「お米」。米には、神聖なものや生命力が籠められているといった事から、「籠める(こめる)」が転じて「こめ」となったといわれています。また、米という漢字は、稲の籾が四方に散った様子を描いた象形文字だそうです。そして、米の字を分解すると「八十八」に見える事から、「籾から育てて食べられるまでに八十八の手間がかかる」と、米を作る際の手間の多さにも例えられています。