市長はムコ殿

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ストーリー

第3話  「子供のミカタ」

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ある日、真理の幼なじみ・木村千絵(38)が訪ねてきた。離婚した後、3人の子供を育てながら働くキャリアウーマンである。
「何かお困りのことがあったら、ここが役所だと思ってご相談に来てください」
千絵の帰り際、大将はリップサービスをする。
ところがある朝、千絵が3人の幼い子供たちを連れて、困り顔で秋吉家に再び訪れてきた。
「一週間だけでいいの。私が働いている間、子供たちを預かって!」
託児所が経営困難のため運営停止となり、子供の預け先がなくて困っているのだ。母子家庭の千絵は他に頼る当てがないし、働かないと生活できない。
「わかった。この子たち、預かる!」
家族があ然とする中、真理は独断で引き受けてしまう。

コウキ(5)・ゲンキ(3)・タマキ(1)。3人の子供の世話は、息つく間もないほど壮絶なものだ。それでも、周囲の心配をよそに、真理は気丈にも子供たちの世話に励んだ。
「これでも10代からずっと子育てやってるんだから、問題ないわよ」
そう強がってみせるのだが、やはり無理をしているのは隠せず、家族との生活にも支障を来すようになってしまう。鈴音は勉強に身が入らず、美羽はたびたびコウキとケンカになる。段々真理のメンタル面も荒んでくるのが大将にもよく分かる。乙女は我関せずとばかりに、真理を手伝おうとはしない。
そうなると、大将も公務に身が入らない。
「残業なしで、子供たちの世話を手伝ってやりたいんです。せめて今週だけでも」
半田に訴えてみるが、まったく相手にされない。市民の生活を守る市長が、公務の片手間に他人の子供の世話など論外である。
子供たちを引き受けたことで、家族がバラバラになりかけていた。

そんな時、乙女が大将に言った。
「公約違反ですよ」
19年前、結婚の許しを乞いに来た時、大将は必ず真理を幸せにすると約束した。
「たった一人の伴侶も助けられないで、すべての市民を幸せにできると思っているのですか」
その言葉に大将は勇気づけられる。
「無休で働きますから、妻を助けさせてください!」
その熱意に半田も折れ、大将は毎日仕事を早く切り上げて家路を急ぐのだった……。