「ふるさと」を探す心の旅 ~啄木と賢治の言葉~

「ふるさと」を探す心の旅 ~啄木と賢治の言葉~

番組概要

いま求められる石川啄木と宮沢賢治の言葉は、混迷の現代を生きる全ての日本人へのメッセージ。日本人にとっての“ふるさと”を知る“心の旅”へ、出発する―。

あなたにとって“ふるさと”とは?
その答えを求めて旅に出る。日本人にとってのふるさとを知る…いわば心の旅。
行き先は東北・岩手。 ふるさとを表現した文人、岩手県が生んだ石川啄木の言葉を訪ねて。
2011年3月11日に起きた東日本大震災の多くの被災者たちが、ふるさとを失った。彼らが復興へとむかう中、ふるさとを呼び戻してくれるのが“石川啄木の言葉”なのだ。

震災の長期的な取材を続けているジャーナリスト/作家・外岡秀俊さんは、「行方不明者がこれほど多い災害はかつてなかった。いまだ行方の分からない人たちの言葉を探し続ける方々の耳を傾け、寄り添うことを抜きに、真の復興は考えられない」と語る。

“ふるさと”とは、また“人”でもある。父や母、息子や娘を行方不明者として失った被災者たち。その思い、喪失感を代弁してくれるのが、岩手県生まれのもう一人の文人、“宮沢賢治の言葉”。今、ふるさとを失った人々に必要とされる2人の言葉。彼らの言葉を訪ねることで、ふるさととは何か? その全景が見えてくるかもしれない。

この番組は、混迷の現代を生きる全ての日本人へのメッセージ。啄木と賢治の言葉を訪ねることで、ふるさととは何か?その答えと今を生きるヒントを届ける。

ナビゲーター

外岡秀俊 (ジャーナリスト・作家)、 近衛はな (女優・脚本家・詩人)

放送内容

“ふるさと”とは何だろう。単に生まれ育った場所ではない、言葉の中に広がる懐かしいイメージ。そのイメージを具体化したのが、岩手が生んだ天才歌人・石川啄木だ。
女優・近衛はなが、ジャーナリスト/作家・外岡秀俊と共にふるさとを探す心の旅。まずは岩手県盛岡市で、啄木の足跡をたどりながら、彼がどのようにしてふるさとの詩を詠んだのかを探る。

石川啄木

宮沢賢治

続いて、啄木が初めて海を見た陸前高田市の三陸海岸。2011年3月11日、その美しい海は多くの人々のふるさとを奪った。ふるさと喪失の計り知れない悲しみと、再生に向けての取り組みに奮闘する人々と触れ合う。

大槌町は、今回の震災で津波被害、行方不明者が突出して多い地域。近衛と外岡は、大槌町出身で父親が行方不明の歌手・声優の佐藤ひろ美と出会う。最愛の人を失い残された人々。その喪失の闇に光を射してくれるのは、文人・宮沢賢治。賢治も最愛の妹・トシを失い、死の現実を受け入れる厳しいまなざしと、強く生きることを後押しする優しいまなざしを作品に注いだ。賢治の言葉は、残された者の声を代弁してくれている。

各地でチャリティコンサートを続けている、北海道在住の土田英順さんのコンサートが大槌町で開かれた。彼が使用しているチェロは、持ち主を津波でなくし壊れていたもの。その生と死をつなぐ鎮魂の音色に、近衛と外岡は何を見出すのか―。