近代建築誕生秘話 塔博士の愛した数式 ~東京タワーを作った男・内藤多仲~

番組概要

6つのテレビ電波塔と観光タワーの設計を手がけた建築家・内藤多仲。耐震建築の父と呼ばれた内藤は、なぜ「塔」に魅せられたのか。東京大学工学部建築学科を卒業した菊川怜を案内役に、塔博士・内藤多仲の全人生に迫る。

1954年(昭和29年)6月に完成した名古屋テレビ塔をはじめ、大阪・通天閣、東京タワー、大分・別府タワー、北海道・さっぽろテレビ塔、福岡・博多ポートタワーの計6つのテレビ電波塔と観光タワーの設計を手がけた建築家・内藤多仲。耐震建築の父と呼ばれた内藤は、なぜ「塔」に魅せられたのか。街の風景を変えた男、塔博士・内藤多仲の全人生に迫る。

東京大学建築学科に在学中、デッサンが苦手だった内藤は、教官から「これからは構造設計の時代だ」と計算尺(けいさんじゃく)を渡される。コンピューターがない当時、内藤は計算尺をいつも胸ポケットにしのばせ、建物の構造計算をし、耐震構造の研究に没頭。ついに「神の数式」を導きだし、耐震構造理論を確立していく。その後、「耐震壁」付き鉄骨鉄筋コンクリート造りの日本興業銀行本店の構造設計を実施。完成の3か月後に関東大震災が起こるが、東京・丸の内にあった米国流鉄骨造ビルが大きな被害を受けたのとは対照的に、日本興業銀行本店が無事だったことで内藤は一躍、時の人となる。