Q:(80年代の)デビュー当時と比較してみて、自分たちの周囲、特に音楽業界において最も変化したと思うことは?
音楽そのものが、時代を追うごとにますます音楽業界とは関わりが少なくなってきていると思うね。音楽というより、むしろ“ビジネス”になっているからだ。僕に関して言うなら、確かに自分を取り巻く多くのことが変わったとは思う。でも僕にとっては、今でも素晴らしい曲や音楽を演奏することや音楽に対する姿勢といったことが、何よりも重要なんだ。最近はインターネットの普及によってレコード会社が打撃を受け、音楽業界は大きく変化してしまった。世界的にレコードが以前ほど売れなくなってしまったからね。でも日本の素晴らしいところは、まだCDを買う人が大勢いる点だ。それはすごくクールなことだし、僕はうれしく思ってる。アルバムを出せば売れるし、ほかの国のように急激にCDセールスが落ち込んでいないのは、日本が最高にクールな国だと思える点だよ。僕は今もCDを買うのが好きだし、ブックレットを開いたり、素晴らしいパッケージの商品を見れば心が躍る。PCからダウンロードするなんて、そもそもやり方さえわからない。それほどコンピューターには詳しくないし、“石器時代の人間”と言われてしまいそうだけど、家には一応ラップトップがあるし、メールを打ったりもしている。でも必要以上にパソコンにのめり込むのは、どうも好きになれないんだ。アーティストに関して言うなら、それほど昔とは変わっていないように思うし、よりライヴに力を入れる連中が増えたような気がするね。ライヴ中心に活動していれば、いい結果が必ず付いてくるしバンドとしても認められるはずだ。もし作ったレコードがあまり売れなかったとしても、優れたライヴをこなしていればファンが付いて収入も増える。ハノイはライヴ・バンドだし、自分はライヴ・パフォーマーだという自負がある。ロックというのは、ライヴこそが命だと思っているからだ。僕らはこれまでにミリオン・ヒットを生んだことがないから、ライフ・スタイルだってトップスターのような豪華なものとは程遠い。でも決して妥協することなく思い通りの音楽を作り続けられる限り、僕は最高に幸せだと感じていられる。それこそが自分にとって最も重要な点だからね。だから音楽業界に大きな変化が押し寄せても、僕自身の生活にはほとんど影響を及ぼしていないと思う。いい作品を作ってツアーを続け、これまでと同様に自分の望む音楽をやることに尽きるね。そして活動を通じていろいろなことを吸収し、少しずつ進化していけるよう努力したいと思う。決してお決まりのパターンに陥ったり、自分たちの音楽にあぐらをかくことなく、新しいものを取り入れて新鮮で若い感覚の興味をそそる音楽を作り続ける。それの努力さえ怠らなければ、きっとうまくいくと思う。
