うたの旅人

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初回放送:2011年5月3日「女ひとり」




♪ 京都 大原 三千院
   恋に疲れた 女がひとり
   結城に塩瀬の 素描の帯が
   池の水面に ゆれていた
   京都 大原 三千院 
   恋に疲れた 女がひとり

永六輔作詞、いずみたく作曲、デュークエイセスが歌った「女ひとり」。
京都を歌った代表的な歌のひとつ。
この歌は、上記の三人が組んで世に送り出した「にほんのうた」シリーズという日本の名所をテーマにした作品のうちの一曲で、「ご当地ソング」の走りとも言えるのだ。

1965年に生まれ、大ヒットしたこの歌には、三千院、高山寺、大覚寺と、歴史の長い三つの寺院が登場する。
それぞれ歌をきっかけに注目を集め、とくに三千院は大型観光バスが列をなす賑わいとなったとか。

そんな「女ひとり」には不思議な点がある。
京都が舞台のこの歌に登場する女性が着ている着物は、実はすべて他の土地の布地を使ったものなのである。
茨城県の結城紬、鹿児島県の大島紬、新潟県の塩沢絣(しおざわがすり)……。 京都には友禅染めや西陣織という京都産の着物があるにもかかわらず何故、他の土地の布地なのか?
そして、そんな着物をまとい、寺院を「ひとり」で巡る「女」とは、いったいどんな女性なのか?

今回、番組はそんな「女ひとり」の謎を追う。
京都をひとり旅する女性の人物像に迫り、永六輔の歌詞の世界を解き明かす。
戦後、テレビ、ラジオで活躍し、日本の芸能史にその名を残す永六輔が、この歌を通じて伝えたかったものとは?
そこには日本人が失ってはいけない、"文化"があった……。
さらに、京都の美しい寺院の映像と共に、デュークエイセスの美しい歌声を紹介する。