食べたい日本の忘れ味II~伝統の味を旅する~

2010年7月25日(日) 夜7:00~7:55 放送

出演:石原明子(料理研究家)ナレーター:藤田弓子(女優)

心の底から、本当においしいと思える味を求めるこの番組。今回は第2弾として、本当の味を作り続けている伝統の店や味を紹介する。

伊勢 戸田家 料庵

伊勢 戸田家 料庵

伊勢神宮や二見浦で有名な伊勢の古い料亭「伊勢 戸田家 料庵」。
創業は1830年(天保元年)。古くからお伊勢参りの旅人をもてなしてきたこの料亭は、明治維新後も伊藤博文が何度も訪れるなど政財界、歌人、作家など錚々たる人達に愛されてきた。
戦後も空襲の被害をなんとか免れた一棟の蔵で営業再開。今でも200冊近い芳賀帳や掛け軸などの調度品は痛むことなく残っており、座敷に入ると歴史の重みを味わうことができる。
料理の目玉は何と言っても「伊勢海老」。志摩市の浜島港で獲れたばかりの活きのいい伊勢海老の活け造り「伊勢海老のお木曳盛」。その他にも初夏を感じさせる季節の料理がある。

丸正酢醸造元

丸正酢醸造元

和歌山県那智勝浦町にある熊野秘伝の黒酢醸造元「丸正酢醸造元」。
創業明治12年、長く続く黒い壁の入り口には那智連峰の伏流水の井戸があり、醸造蔵に一歩入ると、熊野杉の古木で作られた創業以来の大桶がずらりと並ぶ。もち米玄米と那智山の伏流湧水を使い、500日の長い年月をかけて、醸造熟成した酢がある。
「酢を生き物だ」と、三代目小坂晴次さんは醸造蔵に入る前に必ずほら貝を吹く。そうすることで酢と会話している気分になるのだという。
このように昔ながらの手作りでまろやかな酢を作り続け、手作りの味を守っている。

麤(あら)皮

麤(あら)皮

神戸市にあるステーキ店「麤皮」。神戸の山の手に静かにたたずむこのお店では、但馬で生まれた仔牛を三田地方の六甲山のカリウムの多い、ミネラルたっぷりの水で育った三田牛の中から選びぬいた牛をステーキにしている。焼くのは御主人の山田二郎さんが考案した炭火焼炉釜で、備長炭を使用。主人は一時も目を離すことなく、度々ひっくり返しながら丁寧に焼き上げる。吟味した牛と丁寧な焼き方、前菜やサラダなどと味わう逸品である。