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#142

大谷石に飾られた別荘「加地邸」
~巨匠F.L.ライトを継承する遠藤新の名建築~

今回は神奈川県の葉山町にある「加地邸」を訪ねます。加地邸は、三井物産のロンドン支店長を務めた加地利夫の別荘として昭和3年に建てられました。設計は世界的巨匠フランク・ロイド・ライトの愛弟子である遠藤新。ライトが帝国ホテル建築のため来日した際、遠藤がスタッフとして参加した縁で、2人は固い信頼と絆で師弟関係を結びます。今回拝見する加地邸は、そんな遠藤新がライトの影響を最も強く受けていた時期に建てた、最高傑作のひとつと評されています。外観でまず目を惹くのは、複雑に積まれた大谷石の外壁や柱。ライト建築にも頻繁に使われる大谷石を、遠藤新も巧みに用いています。玄関手前には高床式の食堂を張り出し、床下には大谷石に囲まれた美しい空間を造り出すなど、ライトの建築思想を継承する遠藤新は、室内にもその特徴を如何なく発揮しています。中でもライト様式が色濃く反映されているのが居間。特徴的な船底天井や、直線的な幾何学紋様を駆使したデザインには、まさに“ライトの使徒”と言われた遠藤新の思いが伝わります。ライト同様、家だけではなく家具や照明でもトータルにデザインした遠藤新。加地邸は、世界的巨匠の流れを汲む名建築です。

取材先情報

加地邸
神奈川県三浦郡葉山町一色
※通常非公開となっております。

※上記以外の情報については、公開出来ません。