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#143

丘にそびえる“古代神殿” ~ギリシャ以前の建築様式 横浜「大倉山記念館」~

今回は神奈川県の横浜市にある「大倉山記念館」を訪ねます。この記念館は昭和7年、「大倉精神文化研究所」の本館として建てられました。建て主は実業家の大倉邦彦。小高い丘の上に建つ鉄筋コンクリート造3階建ての建物は、まるで古代の神殿が突如現れたかのようで、目を疑うほどの荘厳な雰囲気を漂わせています。設計を担当したのは、辰野金吾の弟子である長野宇平治。ヨーロッパ古典主義様式を得意とし、日本銀行京都支店や大阪支店など、数々の銀行建築を手がけた建築家です。そんな長野が晩年に造ったこの記念館は、彼の作品の中でも極めて異彩を放つ作品となっています。一見、古代ギリシャ建築風に見えますが、実はギリシャ文明以前に栄えた、クレタやミケーネ文明の建築様式に則って造り上げたのです。長野はこの様式を「プレ(前)ヘレニック(ギリシャ)」様式と名付けました。裾ぼそりの列柱、菊の紋章のようなロゼット、円盤列や三角形空間など、プレ・ヘレニックの意匠を忠実に再現した構成は、日本はおろか、世界的にも稀有な建築作品となっています。さらに長野は、そこに東洋的な意匠も融合させました。まさに唯一無二の存在である大倉山記念館を堪能します。

取材先情報

横浜市大倉山記念館
神奈川県横浜市港北区大倉山2-10-1  TEL: 045-544-1881
開館時間:午前9時~午後10時(利用申込受付時間:午前9時~午後9時)
休館休廊日:第2月曜日、第2月曜日が休日のときは第3月曜日
入館料:入館無料(ホール・ギャラリー・集会室利用には横浜市市民利用施設
予約システムへの登録が必要です)
駐車場:一般駐車場はございません。近隣の有料駐車場をご利用ください。

※上記以外の情報については、公開出来ません。