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#225

現役旅館で最初の重要文化財
~箱根湯本の老舗「萬翠楼福住」~

今回は神奈川県箱根の「萬翠楼福住」を訪ねます。創業は江戸時代初期の寛永2年という箱根でも有数の歴史を誇る老舗旅館。伊藤博文や福沢諭吉など錚々たる歴史的人物が、この旅館を訪れています。萬翠楼福住を語る上で何といっても忘れてはならないのが、現役旅館の中で最初に国の重要文化財に指定されたことです。2002年に「金泉楼」と「萬翠楼」の2棟が指定されました。どちらも明治初期の建物で、当時の大工職人が西洋風の建物を見よう見まねで造った擬洋風建築。じつは創業以降何度も火事に見舞われたため、10代目の当主が西洋風の石積み建築を望んだのだそうです。2棟の客室棟は外観こそ擬洋風ですが、内部のコンセプトは異なります。金泉楼の客室は和室の設えに洋風の天井や窓があしらわれた和洋折衷の趣。一方萬翠楼の内部はひたすら和風の設えなのですが、至る所に遊び心と匠の技が満載です。特に1階の15号室は驚きの連続です。巨大な桜の柱、一面天井画で埋め尽くされた格天井、そして木のウロを利用した欄間などまさに枚挙に暇がないほどです。それらは卓越した職人技と銘木に裏打ちされたものばかり。萬翠楼福住はまさに重要文化財に相応しい名旅館です。

取材先情報

・萬翠楼福住
神奈川県足柄下郡箱根町湯本643 TEL:0460-85-5531
※カーナビで向かう際は電話番号0460-85-5531
(2007年2月以前のデータの場合は0460-55-5531)での検索をお願いします。
アクセス:箱根湯本駅から7分   
     ※車で来る際の駐車場10台分あり(無料)
※建物見学のみの公開はしておりません。
チェックイン:午後3時
チェックアウト:午前11時