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#231

清新の数寄屋建築「旧高橋保別荘」
~茶懐石「西紅亭」が継承する熱海の名建築~

今回は静岡県熱海の「旧高橋保別荘」を訪ねます。実業家・高橋保が昭和12年に別荘として建てました。戦後、旅館や保養所へと転用されましたが、昭和51年から茶懐石の料亭「西紅亭」が継承しています。この建物の価値を高めているのは、持ち主や用途が変遷したにも関わらず、当初の姿を保持したまま活用されてきた点にあります。別荘分譲地の面影を残す石垣の一角に佇む兜門も当初の建築。現在は西紅亭の入り口として使われ、上手に調和を奏でています。木立に包まれたアプローチを抜けると主屋が現れます。庭に面して大きく開かれたガラス戸の開口部が目を惹く2階建ての家です。一見、典型的な近代和風建築に思えますが、じつは1階と2階の上下に柱を通さず、意図的に2階部分を奥にずらして造っているのです。それにより威圧感の無いスッキリとした外観を生み出しました。設計したのは大手建築会社に所属していた安藤喜八郎という建築家。伝統的な建築の中に近代技術を組み込むことで知られています。座敷の部材にも近代的な機械製材を効果的に用いて上品さを生み出しています。その上品さをこよなく愛し継承する西紅亭。旧高橋保別荘は、まさに清新な数寄屋の名建築です。

取材先情報

西紅亭(旧高橋保別荘)
静岡県熱海市水口町2-18-28
TEL:0557-81-9166
・アクセス:JR伊東線 来宮駅 徒歩6分
JR 熱海駅 徒歩25分
※専用無料駐車場 4台分あり
・定休日:水曜日、年末年始
・営業時間:午前11:30~午後3:00
午後5:30~午後9:00
※完全予約制
※茶懐石處として営業しているため、建物の見学のみは受け付けておりません。