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#243

昭和の暮らしが刻まれた「佐々木邸」
~同潤会が造った貴重な分譲住宅~

今回は、東京都練馬区に残る「同潤会江古田分譲住宅佐々木邸」を訪ねます。同潤会は、関東大震災復興のために住宅供給事業を行った財団法人で、集合住宅「同潤会アパート」の建設で知られています。大正15年以降、東京と横浜に計16か所建設しましたが、近年老朽化などにより全て姿を消しています。じつは同潤会は、アパート以外に分譲住宅も手掛けています。その多くも失われましたが、現存する希少な一軒が今回拝見する佐々木邸です。しかも昭和9年の分譲当時の姿をそのまま留める貴重な建物のため、平成22年に国登録有形文化財になっています。購入者は帝大で作物学の教授を務めていた佐々木喬氏。当時の佐々木家は11人の大所帯でしたので、分譲と同時に離れを増築しています。そのすべての部屋には昭和の暮らしがそのまま染み込んでいるため、喬氏の孫にあたるご家族が「守る会」を結成して保存維持に努める傍ら、古い資料や写真をこまめに掘り起こし、幼いころ暮らしていた記憶とともに佐々木邸の歴史を発信しています。昭和の暮らしと分譲住宅のコミュニティの姿が、同潤会の歴史と共に生き続けている佐々木邸。近代住宅史と生活史の資料として大切な一軒です。

取材先情報

・同潤会江古田分譲住宅佐々木邸
東京都練馬区小竹町1丁目36-4
※建物内部は原則非公開です。