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#250

石油王が造った伊豆の別荘
~テレビ初公開「旧新津恒吉伊豆別邸」~

今回は静岡県伊豆の国市に残る「旧新津恒吉伊豆別邸」を訪ねます。明治3年新潟県に生まれた新津恒吉は、雑貨商の見習いから身を立て、やがて新津石油を創業し“石油王”と呼ばれるほどの実業家となります。そんな彼が昭和12年、病気療養のため現在の伊豆の国市に建てた別荘が、今回拝見する建物です。周囲の土地は、もともと吉野作造が“理想郷別荘地”として開発した場所。大仙山麓の裾野に広がる分譲地は、今も整然とした区画に分けられています。その一角に建つ瀟洒な門をくぐると、正面に大きな主屋が現れます。一部2階建ての外観にはガラス戸が多用され、いかにも近代和風建築の趣をしています。建物中部の上質で端正な和室は言うに及ばす、驚きなのは洋風の空間。応接間では帆船を描いた陶板や、サンドグラスを使った紋章入りの窓ガラスに出会います。さらに目を奪われるのはサンルームの天井。アール・デコのデザインを用いたステンドグラスが華麗に迫ります。書院造りからアール・デコまでが同居する新津恒吉伊豆別邸は、まさに昭和初期の技術の粋を集めた名建築。現在会社の施設として使われているため公開されたことはありませんが、今回番組で初めて紹介します。

取材先情報

・新津恒吉伊豆別邸
静岡県伊豆の国市
個人宅につき非公開です