バックナンバー

#265

苔の庭に佇む西洋館
~東京目白台「村川家住宅」続編~

今回は東京都文京区の「村川家住宅」続編。西洋古代史学者・村川堅固が明治44年に造った自邸です。主屋である和館の隣には、西洋館と呼ばれる小振りな洋館が建っています。明治時代には「和洋館並列型」の邸宅が多く建てられましたが、やがて一間だけの洋館や応接間へと収斂していきます。村川家の西洋館は、その過渡的な形態を残す貴重な存在なのです。じつは堅固の後を継いだ長男の堅太郎は、この家に若干の改修を加えています。西洋文化を貪欲に吸収した堅固に対し、和を重要視した堅太郎との美意識の違いが、その改修から感じ取れました。今回は家族のプライベートエリアを拝見。そこには3代に渡り住み続ける村川家の歴史が詰まっています。
 
案内人:内田青蔵(神奈川大学工学部教授)

取材先情報

・村川家住宅
 ※個人宅につき一般公開はしておりません。