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#295

和風に込められた皇室の格式
~猪苗代町「福島県迎賓館」居間棟編~

今回は福島県・猪苗代町の「福島県迎賓館」続編。有栖川宮威仁親王の妻・慰子妃殿下の静養のために大正11年に建てられた別邸は、昭和27年に福島県に下賜され、「福島県迎賓館」として庭園を一般に開放。期間限定で建物内部も公開しています。今回巡るのは、慰子妃殿下が生活の場として使っていた居間棟。皇室建築のきらびやかなイメージとは裏腹に、建物の外観は華美な装飾を排した佇まいをしています。しかしそこは皇室建築。居間棟にある「松」「梅」「竹」の三つの部屋は、用途にあわせて空間が仕切られ、格式と様式を重視した造りとなっています。猪苗代湖を望む「松の間」には、大きな花頭窓が設えられ、「四分一」とよばれる皇室ならではの設えが施されていました。最も格上の「梅の間」では部材が朱漆塗りへと変わり艶やかさを演出。一番奥の「竹の間」に向かう縁側廊下では畳敷きから薄縁に変化し、数寄屋空間への移行を示唆しています。純然たる和風建築の技術で造られた福島県迎賓館は、皇室建築の貴重な遺構です。

 
案内人:長田城治(郡山女子大学准教授)

建築用語チェック!

四分一しぶいち
壁面の入り隅などに取り付ける細長い押し縁で
皇室建築では典型的な設え。

取材先情報

・福島県迎賓館
福島県耶麻郡猪苗代町大字翁沢字畑田1072-4 TEL:0242-65-2811(天鏡閣事務局)
【開館日時】
・5月~10月 午前9時~午後4時(庭園のみ)
・建物内部は予約制
 ※詳しくはHPまで(https://www.tif.ne.jp/geihinkan/
【アクセス】
〔鉄道〕
磐越西線猪苗代駅下車・駅前より磐梯東都バスで約15分 長浜下車徒歩5分