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#301

“幻のデザイナー”奇跡の洋館
~茨城県取手市「旧渡辺甚吉邸」~

今回は茨城県取手市の「旧渡辺甚吉邸」を訪ねます。かつて港区・白金台に建てられた旧渡辺甚吉邸は、実業家・渡辺甚吉の私邸として昭和9年に完成した洋館です。全体計画を建築家の山本拙郎、実施設計は遠藤健三、そして細部の装飾を“幻のデザイナー”ともいわれる今和次郎が手掛けています。日本の住宅の発展に寄与した3名の英知が集結したことにより、当時の日本における住宅建築の最高水準の設計思想が反映されました。渡辺家の手を離れて以降は、ラオスやスリランカの大使公邸、さらに結婚式場として活用されていましたが、2019年に解体。工事を手掛けた前田建設が部材を保存し、自社の研究所内に移築復元しました。チューダー様式を基調とした甚吉邸の中でとりわけ目を惹くのは、今和次郎による装飾デザインの数々。寡作で知られる今和次郎だけに、この家の室内に施された独創的なデザインには目を見張るものがあります。大使公邸や結婚式場時代に大きな改竄もなく大切に使われた旧渡辺甚吉邸。当初の姿のまま残された、まさに奇跡の住宅です。
 
案内人:内田青蔵(神奈川大学建築学部 学部長)

取材先情報

・旧渡辺甚吉邸
茨城県取手市寺田5270
(前田建設工業株式会社ICI総合センター内)
TEL:0297-85-6171
【開館日時】
  ・原則非公開