“父親”ヒクソン・グレイシー 受け継がれる　史上最強の魂

人の数だけ、親子の物語がある。
…人類史上最強と言われた男にも、子として、親としての物語がある。

20世紀、日本発祥の柔術から発展させた“グレイシー柔術”を父親に学び、史上最強の格闘技と証明するため、どんな敵とも闘って、400戦以上も無敗を誇ったと言う男がいた。

ヒクソン・グレイシー。　“生きる伝説”とも囁かれた彼は、しかし、突然、闘いの舞台を去る。理由は、一番の応援者であった愛する長男の死だった…。最強のはずのヒクソンは引きこもり、一時は自殺まで考える。やがて、彼は、目の前の家族との時間以上に大切なものはないと悟る…

だが、その長男の死が、同時に、次男クロンの人生をも変える。兄の進もうとしていた闘いの道に、自ら本気で飛び込むことを決意する一因となったのだ。

今やクロンは、アメリカの道場を拠点に、父の重責を引き継ぐまでに成長。その第一歩である総合格闘技のデビュー戦が決まった時、父ヒクソンは、ブラジルからアメリカへと移住し、息子のすぐ側で入念な準備を支え、見守った。

そんな“父親ヒクソン”は、試合の直前、“息子クロン”へこう問うたと言う。
「死の覚悟はできているか？」

“三代に渡って継承される最強のグレイシー柔術”の誇りとは？そして、絶望の淵から這い上がった父と子の想いとは？　…敵と向き合うより、家族と共に生きることを選んだ“史上最強の父親”の物語です。