懐かしき昭和への旅 廃墟は物語る輝かしい時代の思い出

懐かしき昭和への旅 廃墟は物語る輝かしい時代の思い出

お知らせ

【放送日時】
2017年7月31日(月)よる7:00~8:54 再放送

番組概要

現代日本の礎を築いた時代「昭和」。敗戦による混乱や荒廃からの復興に湧き立ち、ジャパンメイドが世界を席巻、活気に満ちあふれていた時代。高度経済成長という言葉に象徴される輝きが、そこにはありました。
番組では、当時の栄華を今に語り継ぐ「廃虚」を訪ね、案内役による奥妙な語りと、昭和の魅力を想起させる貴重な映像や資料で、古きよき時代を振り返っていきます。
そして、廃虚の魅力は建物だけではありません。そこは時間が止まった世界。私たちのノスタルジーをくすぐるアイテムが満載です。あるじ無き居間には、冷蔵庫、洗濯機、そしてチャンネル式のテレビ。さらに懐かしい小学校の教科書も…。ノスタルジーをそそる品々が当時のまま残る、奇跡の空間なのです。

俳優・松重豊が訪れたのは、昭和の時代に閉山に追い込まれた、兵庫県の明延(あけのべ)鉱山と、かつて東洋一の選鉱場といわれ、日本の近代化を支えた神子畑(みこばた)選鉱場。山の斜面を利用した巨大な選鉱場が山間の空間に突然と姿を現し、その存在感に松重は圧倒されます。まるで神殿のようなコンクリートの構造物は22の階層からなり、明延鉱山からトロッコで運ばれてきた鉱石を選鉱し、銅・錫・亜鉛を取り出していました。全盛期には24時間操業し、「不夜城」といわれた一帯。近くには鉱山で働く人々が暮らし、劇場や小学校もありました。
今回、当時選鉱場で働いていた人に話を聞くことができました。「美空ひばり以外のスターはみんな来た。給料も良くて、山での暮らしは裕福だった」と話します。廃校になった小学校には、木の部分が朽ち果て、さび付いた鉄だけのブランコが風に揺れていました。
続いて松重は、廃虚となった明延鉱山跡に向かいます。携帯電話もつながらない山奥に、かつての坑道の入り口が静かに待ち受けていました。元作業員だった人の案内で、坑道の中へ。坑道は血管のように張り巡らされ、冷たい空気が流れています。坑道の総延長は550キロ、新幹線・東京~大阪間の距離に相当します。命の危険を顧みず掘り進んだ岩肌が、作業の過酷さを物語っていました。
そして、廃虚となった住宅地跡には、人々の暮らしの痕跡が残されていました。かまどのある懐かしい台所に、置き忘れたのか昭和のレコード…。松重にも昭和の記憶がよみがえります。

かつてそこには人々の暮らしが確かにありました。そして、誰もいなくなった廃虚という空間の中で、松重豊は何を思うのでしょうか?

【出演】 


松重豊(俳優)


角野卓造(俳優)


姜 尚中(政治学者)