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ブラックドッグ~新米教師コ・ハヌル~

非正規教員の現実を描いた「女性教師版ミセン」

若者の失業率の高さが深刻な社会問題となっている韓国。最近のドラマでは必ずと言っていいほど、正社員として就職できずアルバイトや非正規で働く若者が登場します。特に、昨秋、韓流モーニングでも放送された「ミセン-未生-」が人気を得た2014年以降、こうした傾向が高まりました。囲碁棋士の道に挫折した主人公がコネで商社のインターンとなり、上司に鍛えられながら苦労して契約社員として頑張っていくという内容が、似たような境遇の若者や多くのサラリーマンの共感を呼んだのです。
 一般企業だけでなく教育の世界でも、非正規教員の不安定な雇用状況や、仕事量に見合わない低賃金などがかねてから問題視されています。「ブラックドッグ〜新米教師コ・ハヌル〜」は、こうした非正規教員が置かれた現実がつぶさに描かれている点で「女性教師版ミセン」とも言えるでしょう。塾講師をしながら教員試験を受け続け、ようやく私立高校に1年間の契約で採用されたコ・ハヌルは、登校早々にコネ採用の噂を立てられ孤立してしまいます。そんな彼女に偏見なく接し、手を差し伸べる尊敬できる先輩教師が現れるのも「ミセン」を彷彿とさせます。
 正規採用の教員とは同じ扱いが望めない非正規教員。ハヌルが自分を“ブラックドッグ”に重ね合わせて考えるのも無理はないのかもしれません。黒い犬はヨーロッパでは悪魔の使いと考えられていたこともあり、不吉な物事の象徴的な存在だったそうです。現在も保護犬の里親探しの際、黒い犬は嫌われる傾向が強いのだとか。ドラマはこうした非正規職の問題だけでなく、社会全体の偏見を“ブラックドッグ”に込めているように思えます。