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凍てついた愛

なりふり構わぬエゴイズム! 切実な親子関係に注目

 「凍てついた愛」には「子どもを愛してない親なんていない」という印象的なセリフが出てきます。ですが、そこで描かれるのは、愛は愛でも歪んだ愛情で子どもを支配しようとする親たちと、そんな親からの抑圧にあえぐ子どもたちでした。
 
 転落して意識不明のソンホは穏やかで正義感が強く、詩を愛する繊細な魂を持ち、家族思い。どうやったらこんな天使のような子が育つんだろう、と言いたくなるような少年です。その両親も妹も心温かい人物で、なかでも事なかれ主義だった高校教師の父親ムジンが事件をきっかけに自分の生き方を変えようとする姿は感動を呼びました。
 
 そんな一家と対照的に描かれるのが、いじめの加害者側の子どもたちの家族です。夫と死別後ひとりでコンビニを経営するシングルマザー。金ですべてを解決しようとする下世話な成金夫婦。弁護士の夫と医者の妻の嫌味なエリート夫婦。それまで仲よくしていたママ友たちが、ひとたび事件が起これば我が子を守るため、なりふり構わぬエゴイズムをむき出しにする!そこに広がるのは、嘘と裏切りと嫉妬と欺瞞に満ちた荒涼とした世界です。
 
 なかでも一番強烈だったのが、学校の理事長であり権力主義者のジンピョと、そんな夫におびえて暮らす妻ウンジュ、一人息子ジュンソクのセレブ一家。物語の後半では、人に言えない罪の意識にさいなまれるウンジュの苦しみに焦点が当たっていきます。いなくなったジュンソクを捜して夜の街を走り回り、路上に座りこんで泣くシーン。愛する息子はモンスターなのではないかと戦慄する場面。チョ・ヨジョンの演技は見ていて痛々しくなるほどで、オ・マンソクの悪役ぶりにもうならされました。切実な親子問題に注目しながら見ると、ドラマをより深く味わえることでしょう。